研究課題/領域番号 |
02452095
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械材料工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西谷 弘信 九州大学, 工学部, 教授 (20037708)
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研究分担者 |
内堀 久幸 九州大学, 工学部, 助手 (80037788)
尾田 安司 九州大学, 工学部, 助手 (20091340)
野口 博司 九州大学, 工学部, 助教授 (80164680)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1991年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1990年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | 複合材料 / 金属基複合材料 / 疲労 / 回転曲げ / 連続観察 / SiCウィスカ / 切欠き |
研究概要 |
本研究に用いた金属基複合材料は、SiCウィスカで強化した6064ーT6アルミニウム合金である(重量含有率30%)。本材料は塑性加工(押出しなど)や旋削が可能であり,また比強度に優れているため実用に供されようとしている。この実用材料を用いて、このような金属基複合材料の疲労特性を、その表面状態の連続観察による疲労過程の解明を通じて、明らかにした。観察は、ウィスカが非常に小さいため、すべて走査型電子顕微鏡を使用した。以下にわかったことを列挙する。 (1)引張り強度と10^7回における時間強度においては、SiC/Al複合材料の強度は、Al合金単体のそれの約2倍であった(その強度は一般構造用炭鋼に匹敵する)。(2)Al単体の疲労寿命が、1mm程度の比較的長いき裂の伝ぱ寿命によって決まっているのに反して、複合材料はき裂長さ200μm程度までの寿命できまっていた。(3)疲労き裂は寿命1/20程度の早い時期に発生した。(4)SiCウィスカは微視的には、一様にAl中に入っているのではなく(押出成形のより)、ウィスカが入っていない層が存在し、ウィスカの大きさも一様ではない。それに起因して、疲労き裂はそれらの層の堺界で発生する場合、欠陥から発生する場合、大きなウィスカから発生する場合の三つがあり、その際微視的き裂は多数発生した。(5)粉末冶金によりAl合金単体の疲れ強さは切欠きに敏感であり、停留き裂発生限界の切欠半径(分岐点の切欠半径)は約0.6mmであった。これらの性質は圧延Al合金のそれとほぼ等しい。(6)本実験の範囲では、SiC/Al複合材料の疲れ強さは切欠き鈍感であり、分岐点の切欠半径は約0.2mmであった。これは、本複合材料のき裂発生が点発生的であることや、切欠半径が小さいところで(応力集中係数)×(疲れ強さ)=一定が成立することを考慮すると、本実験では、比較的小数本の疲労試験により疲労限度を決定したため統計的因子の影響を極めて強く受れており,本質的には本複合材料は切欠きに敏感ではないかと思われる。 以上のように、ウィスカによる複合化によって引張り強度や疲労強度は上昇するが、(a)本複合材料のK_<fc>が小さいことに起因した上記の(2)の性質により、本材料からなる機械・構造物の保守・点検は難しく、(b)上記の(6)に述ベたように疲労強度における統計的因子の影響が大きく安全系数を大きく取らざるを得ないだろうなどの使用上注意すべき新たな欠点が見いだされ、このことを十分考慮して実用に供すべきであることが結論ずづけられた。
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