研究概要 |
本研究の目的は乱流自由せん断流中を流れる微粒子の流動特性を明らにし,その乱流拡散の機構を解明して,拡散を制御する手法を見出すことにある。従来,乱流中の微粒子の流動はランダム拡散という観点から研究されてきたが,近年,乱流中の大規模渦構造の存在が明らかになり,それが微粒子拡散にも重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。本研究ではこのような観点から噴流ノズルの縮流が粒子拡散に及ぼす影響を数値シミュレ-ションと実験によって調べた。 流れ場としては一様平行流中の円形噴流を取り挙げ,流れに追随性の良い粒子としてφ0.8μmDOPエアロゾル,追随性の悪い粒子として32μm,58μm,102μmガラスビ-ズの4種類の粒子について調べた。 1.数値シミュレ-ション 軸対称離散渦法を用いて流れを解析し,粒子の軌跡を追跡計算して粒子の流動を解析した。流体の噴出速度を同一に保ち,粒子の噴出初速度を種々変化させ,粒子速度・濃度を求めた。 2.レ-ザドップラ流速計による粒子速度の測定 噴流イズルとして縮流比の異なる5種類のノズル(縮流比1.0,1.44,3.24,7.84,0.64)用い,粒子の流れ方向速度と半径方向速度を測定した。 その結果,大きな粒子の噴出速度はノズル縮流によって大きく低下することが明らかになった。そのため,噴流中でも粒子速度・粒子濃度は大きく変化した。また追随性の不十分なガラスビ-スがDOPよりも外向きに偏向して流れることが明らかになり,大規模渦の影響が実験的に確認された。またある特定の縮流比(=1.44)において,大きな粒子拡散が認められた。これは大規模渦の強さの違いや,粒子流動への影響の度合の変化が複合して生じたものと考えられる。 これらの結果を総合して,ノズル縮流によって微粒子の流動・拡散を制御する手法の可能性について検討した。
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