研究概要 |
平成2年度と3年度の2ケ年間に亘って最終強度解析に基づく板構造の信頼性評価に関する研究を行い,次の成果を得た。 1.従来の塑性節点法と有限要素法を組合せた解析法による立体骨組構造の信頼性評価システムの理論を基礎として,有限要素に膜要素を用いることにより連続体に適用可能な立展薄板構造の信頼性評価システムを開発,提案した。なお,膜要素の塑性化条件式として,トレスカの降伏条件式に加えて座屈・圧壊を考慮した線形化破損条件式を用いることにより,より一般的な最終強度条件式の開発・提案も同時に行っている。 2.基礎的モデルとして,曲げおよび剪断を受ける六角中空断面梁あるいは曲げを受ける隔壁付箱形断面梁の崩壊解析に対して,本システムを適用し,数値計算を行うとともに,結果に対する考察から本システムの性能を確認した。 3.実構造への適用性を検討するため,大型タンカ-およびバルクキャリヤ-の船体主構造に本システムを適用し,一二の想定荷重条件に対して数値計算を行った。各想定荷重条件に対する最終崩壊モ-ドの特徴とその生起確率の傾向等に関する考察から本システムの有効性を確かめた。 なお,き裂を含む脆性板要素の取扱いについても,本システムの膜要素の剛性低下的モデとして再解析する方法を検討している。今後、具体的構造へ適用し、数値的検討を加えていく予定である。 最後に,本システムの開発および数値計算にあたっては,本科学研究費補助金にて購入したワ-クステ-ションNEWS3860システム等を使用したことを付記する。
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