研究概要 |
本平成4年度は最終年度にあたるため,超高圧下焼結(Y-系,Bi系)と磁場・電場内圧延(主としてBi系)を行ってきた加工,成形に関しての最適条件と到達物性値(主にJc)の向上と再現性を確かめるための実験を行ない,総括的検討を行なった(井村)。以下に結果を列記する。 (1) 5.4GPaの超高圧下での焼結により,Y系,Bi系共に緻密度の向上は達成された(99%up)が,Bi系のその後の焼鈍による若干の緻密度の低下の難点は,強磁場・電場内圧延により改良された。(戸伏,井村)。 (2) Bi系の強磁場電場内圧延により,結晶配向性の向上があることがX線回析極点図の測定により判明した(井村,戸伏)。 (3) 上記の方法により,Tcon-ser=115K,Tc offser=105Kが得られ(Bi系),Jcは,通常焼結の500〜600Alcm^2の域から,1650Alcm^2(Y系),3000Alcm^2(Bi系)に向上した(井村,戸伏)。 (4) 組織の物質化,緻密度の達成度合いと,それらのTc,Jcとの関連性,および物性値の再現性向上を確かめた(岩永)。また,AFMを図いての表面状態の調べと結晶粒の大きさや結合の模様を確かめた。 (5) Bi系試料粉末のAgレース封入材,およびAg板への両面塗布材の重ねによる多層板の圧延による,リボン及び多層材の作成が出来るようになった。但し,多層材の物性値の再現性向上は今後の課題となった。 (6) 以上総括して所期の目的は,一応達成されたものと考えられるが,引続き,(a)リボン材の接合に関する実験を続けており,近い将来結果が出る予定であり,また,(b)高硬度,難加工性のアモルファス合金粉末(Fe-B-Si系など)や,金属間化合物(CuZn,Ti,Alなど),およびセラミックス(Si_3 N_4など)への本成形法の適用の検討は続けて行ってゆく予定であり,既に一部成果が出ている。
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