研究概要 |
本研究においては,初年度は,赤外分光光度計を購入して酸化物および炭化物について遠赤外線放射の測定を行った。第2年度は,赤外分光光度計の付属設備を追加して測定を効率的に行えるようにして,広範囲の物質の測定を行った。第3年度は,さらに測定系を改良して精度をあげて,主に複合化による赤外線放射の変化を測定した。 最初に,アルミニウム基化合物,酸化物,炭化物などの分光放射率を測定して,単体化合物の遠赤外線放射の特性を明らかにした。その結果,単体化合物の分光放射率曲線は物質固有の物で,ほとんど変化させることはできないということが明らかになった。このため,シリカ,アルミナ,マグネシアを基にして,2成分系および3成分系の試料について複合化と分光放射率の変化を測定した。試料は混合粉末を焼結することによって作成し,焼結温度は低温(1000℃)と高温(1400℃)にして,焼結だけが進行する場合と複合化合物が形成される場合に分けた。 この結果,成分化合物の間に焼結だけは進行するが複合化は生じない場合は,分光放射率曲線は2成分の曲線を重ね合わせた型になり,複合酸化物が形成される場合は成分化合物とは異なった形の曲線になった。このように,成分の化合物と焼結の条件を選択することによって,分光放射率曲線の形を変えることができることを示し,目的に応じた遠赤外線放射材料を作り出せる可能性がを明らかにした。
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