研究概要 |
(1)Sic,AI_2O_3,ZrO_2,Si_3N_4などについてTSC(熱衝激電流)を測定すると、AIN,ZrB_2と同様電導度の増大する温度付近より発生し、セラミックスが負であり、その起電力は、温度依存性があり、最大値を持つ曲線であって、単純な熱起電力とは異質のものであることが判った。ろう付温度の1100k以上の温度で、セラミックス側が負に帯電する分極が維持される。(2)IVa族の活性金属Ti,Zr,Hfなどを含有するCuろうを用いて,セラミックスと金属を接合すると、セラミックの界面に、これら活性金属が偏析する。(3)この偏析機構を説明するために、TSC分極がDriving Forceとなっていると考へ、この程度の分極でもろう中の活性金属が電解移動することを証明するために、外部より電界を加え、微小な電界と小電流でセラミックスが正となるように電解すると,偏析を打ち消すことができることを見出した。逆にセラミクスが負である電界によって偏析が生じることを明かにできた。これらからろう材中の活性金属は電解移動しやすく、セラミックスのTSC分極は、成分の偏析移動のDriving Forceとなっていることを証明でき、新しい偏析機構説を提案するに至った。(4)外部電界によって、ろう接界面の偏析層厚さを制御できる可能性を探るため、AINと同様にZrB_2,Si_3N_4を用い験を行ない、いずれの場合も、電界の強さに比例して偏析層が厚くなること、電解時間に比例して厚くなること、温度依存性は少ないことなどを見出し、外部電界によって偏析層厚さを制御できることが明かにできた。(5)Si_3N_4の場合、TSCは負に分極する直前に正に分極しているが、ろう接温度域では再び負に分極し、活性金属の偏析が生ずるが、ろう中には、Siの溶出が見られ、セラミックス自信の電解移動も考慮する必要があることが判った。
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