研究概要 |
衝突エネルギ-が5keV以下では,DT,DD,DH^3_e,等の核融合をはじめとして,ほとんどの原子核反応はク-ロン反発力のため断面積が小さく,実験デ-タはほとんどない。本研究では,慣性核融合あるいは,微粒子ー固体インパクト核融合において実現可能な,高密度・高温プラズマを利用する低エネルギ-領域の原子核反応研究の可能性を検討した。これらのプラズマでは,高密度であることから,原子核の衝突頻度が高くなり,非常に断面積の小さい低エネルギ-の原子核反応の観測が可能になると期待される。この研究では,高出力レ-ザ-の爆縮で発生する高密度プラズマ中での原子核反応への高密度効果,特に高Zイオンの混入の効果を理論的に調べ,高密度プラズマ中でのDT,DD等の核融合反応断面積を求めた。その結果は,プラズマ温度が100eV〜1keVのレ-ザ-爆縮プラズマ及びD_2Oクラスタ-とTiDタ-ゲットの衝突実験に適用された。また,高密度星中の原子核の組成と反応率との関係に関するデ-タも提供出来た。 (1)具体的な研究は以下の手順で進められた。 軽イオン不純物高Zイオンおよび電子からなる三成分プラズマのイオン間動径分布関数をHNC方程式を用いて決定する。 (2)その結果より,核反応時のク-ロン障壁の低下と不純物イオンの混合比率との関係を調べた。 (3)その結果を用いて,軽原子核同志のトンネリング確率を明らかにし,密度,温度,高Zイオン混合比と核反応率との関係をグラフにして求めた。 以上の研究結論は論文としてまとめられ,日本物理学会及び米国物理学会誌Physical Reuiew Aにおいて発表した。
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