研究概要 |
NBI用の大電流重水素負イオン源開発を目標として,体積生成型負イオン源でのH^ー生成・H^ー引き出しの高効率化に関する素過程の解明に的を絞り,実験・理論・粒子シミュレ-ションの3方法により検討した。 1.H^ー生成過程における高速電子e_fの役割を明らかにした。 純粋な水素放電によるH^ー生成には振動励起分子H^*_2が是非とも必要である。幾つかあるH^*_2生成過程の中で,e_fによるH_2からの衝突励起が最も確実かつ量的にも重要であること,更に35〜40eV以上のe_fがあればH^*_2生成はe_fのエネルギ-分布の形に殆ど依存しないことを理論的に示した。 2.H^ー生成・H^ー引き出しの最適化とプラズマパラメ-タの関係 磁気フィルタ-により電子エネルギ-分布を空間的に制御し,H^ー生成を増大する。更に,H^ー引き出しでプラズマグリッド電位を最適化する(プラズマ電位に近い)。この時,磁気フィルタ-とプラズマグリッドの両者の兼合いで引き出し領域のプラズマパラメ-タがH^ー引き出しに最適となっていることを実験的に確認した。この値はH^ー生成にも強く影響する。 3.ダブルプラズマ型負イオン源の試作とH^ー生成機構の解明 H^ー生成機構は,(1)H_2+e_f→H^*_2+e^1_f;(2)H^*_2+e(低速のプラズマ電子)→H^ー+Hの2段階過程であることを理論的に解明している。ダブルプラズマ方式によりe_fのエネルギ-分布を制御してe_fの量を変え,H^ー生成が上記2段階過程で行われていることを実験的に明らかにした。 4.粒子シミュレ-ションによる負イオン源に関わる基礎過程の解明 (1)磁気フィルタ-による電子のエネルギ-分布制御(特に,高速電子の磁場による選択的反射)の物理機構の解明を行った。 (2)磁気フィルタ-とプラズマグリッドを含む系でのシ-ス形成と負イオン引き出しに伴う物理機構の解明を行った。 5.重水素放電によるD^ー生成を確認した。同位体効果は今後の課題。
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