研究課題/領域番号 |
02453005
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 晴雄 東京大学, 理学部, 教授 (00011479)
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研究分担者 |
朝倉 清高 東京大学, 理学部, 助手 (60175164)
難波 秀利 東京大学, 理学部, 助手 (40118766)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | ステップ / 化学吸着 / 表面EXAFS / 光電子分光 / 局所構造 / 電子状態 / ニッケル / イオウ / 単結晶 / 単結晶ステップ面 / 局所構造解析 |
研究概要 |
本研究では、Ni(7 9 11)表面に周期的に配列したステップを触媒などの表面反応の「活性点」、あるいは、表面欠陥の一つのモデルと考え、シンクロトロン放射を利用して、表面EXAFS、および、角度分解光電子分光と、それらの偏向依存性を有効に活かしてステップの原子スケ-ルでの局所構造を明らかにし、さらに、ステップに局在した電子状態を検出して、その分散関係を決定し、世界で初めて、ステップの物理的な実像を明らかにした。さらに、表面での反応を活性化することが知られているアルカリ金属と、それとは逆に、失活させるイオウなどのステップでの吸着状態を調べて、触媒などの表面反応を考察する上での重要な知見を得た。主な結果を次に要約する。 (1)Ni(7 9 11)表面上のステップでは、結晶形から予想されるような原子配列が実現されていることが示された。イオウは吸着量の少ない範囲ではそのステップの4ーfoldサイトに選択性良く吸着することが分かり、その原子配置が決定された。イオウの吸着量、試料温度を系統的に変えて吸着構造の変化を調べたところ、室温で吸着量を増加させるとステップサイトに吸着しているイオウを基点として、イオウの(/3×/3)R30゚構造の超格子が形成されることが分かった。この構造はNi(7 9 11)表面のテラスと同じ原子配置のNi(111)面では室温では存在しないために、ステップに前吸着しているイオウがその後の吸着構造を支配していると考えられる。 (2)Ni(7 9 11)表面のステップサイトに局在化した電子準位を初めて見出し、その分散関係を決定した。その電子準位は、ステップに垂直な方向にかなり局在していて1次元性を有していると考えられる。 さらに、ステップにアルカリ金属などの異種原子が密に吸着することにより1次元的な金属状態を出現させる可能性を見出すことができ、今後、表面を舞台とした新しい低次元の物性研究の展開が期待できる。
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