研究課題/領域番号 |
02453009
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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研究分担者 |
鈴木 和也 東京工業大学, 理学部, 助手 (80206466)
宮島 清一 分子科学研究所, 助教授 (30157648)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | グラファイト層間化合物 / 金属水素 / 水素吸収 / インターカレーション / 輸送現象 / ホ-ル効果 / 熱起電力 |
研究概要 |
グラファイト層間にアルカリ金属原子の挿入された構造を持つアルカリ金属-グラファイト層間化合物は水素を化学吸着的に吸収し、吸収された水素は水素アニオンとしてグラファイト層間に安定化される。本研究においては、ナトリウム、カリウム、ルビジュウム系化合物について、輸送現象、電子構造、磁性、水素吸収活性についての実験を行った。ナトリウム-水素-グラファイト系においては、伝導度、熱起電力、ESR、磁化率の測定を行った。熱起電力はグラファイトπ電子のフォノンドラッグ効果で説明される挙動を示し、ステージ数の増加に伴い減少傾向を持つことが明かとなった。この結果をtight-binding近似により解析したところ、カリウム系化合物に比べて、インターカレートからグラファイトへの電荷移動量がかなり小さいことが明かとなった。このことはグラファイト層間のNa^+-H^--Na^+イオン性インターカレート中で電荷移動がほぼ完結していることを示すものである。カリウム-水素-グラファイト系については、磁気抵抗、加圧下での伝導度、電子比熱測定を行った。磁気抵抗の結果は、この系において、多数キャリアとしての電子的グラファイトπ電子と少数キャリアとしての水素バンド上のホールが共存し、両者とも10^3cm^2/Vs程度の大きな移動度を有することを示した。π電子の大きな移動度はその小さな有効質量から理解される。一方、水素バンドのホールの大きな移動度はK^+-H^--K^+イオン性インターカレートの小さな電子-格子相互作用によるものである。高圧下での面間伝導度の実験結果は、面間伝導機構において、インターカレート層とグラファイト層間の波動関数の重なりが重要な役割を果たすことを示唆している。
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