研究概要 |
1.ピリジン環(py)の3-または4-位にPhSO基を導入し、グリニヤール試薬と反応させるとグリニヤール交換反応により3-及び4-ピリジルグリニヤール試薬が容易に発生し、各種のアルデヒド、ケトンとカルボニル基への付加反応を行うことを見いだした。また、この方法により光学活性の3-,4-PyS(O)Tol-pが合成できた。2-ピリジルの反応では配位子同士のカップリング反応により2-置換ピリジンが高収率で得られた。また、2-PyS(O)PhはLDAでリチオ化するとピリジン環の3-位が選択的にリチオ化され、親電子剤との反応により3-位が容易に置換され、後、グリニヤール試薬との反応により軸不斉を持つ2-フェニルピリジンが容易に得られた。この反応より光学活性な2,3-ビスジp-トリルピリジンとp-TolMgBrの反応で、位置選択的に3-位のp-TolSO基を除き、光学的に純粋な2-PyS(O)Tol-pを得ることに初めて成功した。 2.光学活性な2-PyS(O)Tol-pをリチウムイソプロピルアミド(LDA)でα-リチオ化、各種アルデヒドと反応させると、高選択的にスルフィニル基のα-位にフェニルアルコキシル基が導入でき、絶対配置の決定、n-BuLiの脱スルフィニル化による光学活性α-フェニル-β-ピリジルエタノールの合成等を行った。 3.チアントレンやセレナントレンのモノスルホキシドとLDA、(PhS)_2等の親電子剤との反応によりチアントレン等の4,6-位に位置選択的に二置換基を導入した。また、この4,6-二置換チアントレンモノオキシド)とBuLiによる環縮小反応で、1,9-位に硫黄、セレン官能基を有するジベンゾチオフェン、セレノフェンの合成に成功し、これらを用いた熱、光分解で[3.4,bc]チエノチオフェン、セレノセレノフェンの合成に成功した。
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