研究概要 |
選別困難なレアメタル原料鉱物の効果的分離を達成するための浮選法を導入し、以下のような成果をえた。 1.浮選によるモナザイトとゼノタイムの分離 モナザイトはオ-ストラリア,マレ-シア,タイおよび米国産のもの,ゼノタイムはマレ-シア産のものを試料として用いた。 捕収剤としてDACを用いた場合,pH7におけるモナザイトの浮遊率はタイ産90%,マレ-シア産70%,米国産51%,オ-ストラリア産8%となり,産地により大きな違いが認められる。一方,同一pHにおけるゼノタイムの浮遊率は14%である。また,捕収剤としてSDSを用いた場合,pH3におけるモナザイトの浮遊率は米国産51%,オ-ストラリア産35%,マレ-シア産11%,タイ産0%で,ゼノタイムのそれは17%である。ただしSDSを使用するとき,FeCl_3を添加するとモナザイトの浮遊率が大幅に増大する傾向が認められる。例えばマレ-シア産のものの浮遊率は,pH3において82%に達する。 2.浮選によるコロンバイトと鉄マンガン重石の分離 日本の石川産コロンバイトとポルトガル産鉄マンガン重石の磁化強度は,それぞれ0.63emn/g(15000 Oe)で,極めて近接している。従って磁力選別に適さない。NaOlを捕収剤として両者を浮選すると,コロンバイトの浮遊率は68%,鉄マンガン重石のそれは9%となり,精選操業を考慮にいれれば効果的分離が期待できる。この場合のパルプの適正pHは2〜4である。このpH条件下でコロンバイトは正に,鉄マンガン重石は負に荷電するので,NaOlがコロンバイトに選択的に吸着しこの鉱物が浮選しやすくなることなどが明らかとなった。
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