研究概要 |
本研究の当初の目的であったピロ-ル、フラン、ピリジン環を縮合したインドリジン及びピラゾロ[1,5ーa]ピリジン誘導体の合成は、その原料となると予想された2位にアルキルアミノ基を有するインドリジン誘導体やアシルメトキシ基を有するピラゾロ[1,5ーa]ピリジン誘導体が合成でき、これらを用いての様々な反応が検討されたにも関わらず、全く対応する3環性の化合物を得ることが出来なかった。しかし、これらの変換反応に対しては今後も検討を続ける予定である。一方、3位に2,2ージアセチルビニル基、2位にアシルメトキシ基を有するインドリジン誘導体の合成反応では、新規橋頭窒素複素環化合物であり、ヘテロ7員環が縮合したインドリジン誘導体の初めての例である2,3ージヒドロオキセピノ[2,3ーb]インドリジン誘導体が生成することを見いだした。又チエノインドリジン誘導体の合成研究では、2ーアシルメチルチオー2ーシアノインドリジン誘導体を用いての分子内環化反応を検討し、3ーアミノチエノ[2,3ーb]インドリジン誘導体を初めて合成すると共に、この結果からインドリジン誘導体の1位及び3位の電子吸引性基の反応性の順序(3ーCN>1ーCN>3ーEster>1ーEster)を最終的に決定することができ、それらは分子軌道計算から予測される結果と良く一致することを確認した。さらにこれらの反応によって得られる生成物や縮合インドリジン誘導体の構造証明の一環として、ピリド[2,1ーc][1,4]チアジン、チエノ[3,2ーa]インドリジン、チエノ[2,3ーb]インドリジン、ピラノ[2,3ーb]インドリジン、フロ[2,3ーb]インドリジン誘導体の単結晶X線結晶構造解析を実行し、これらに対する重要な構造デ-タを得ることが出来た。 これらの成果は、発表1報、印刷中1報、投稿中1報、投稿準備中2報である。
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