研究概要 |
1.光学活性パラジウム触媒を用いた環状オレフィン分子間不斉Heck反応において,はじめて高い立体選択性を達成した.(1)2,3ージヒドロフランの不斉アリ-ル化反応を1,8ービス(ジメチルアミノ)ナフタレン存在下に行うことより光学的にほぼ純粋(>96%ee)な種々の2ーアリ-ルー2,3ージヒドロフラン類を合成した.(2)アリ-ルトリフラ-トと2ーピロリン類の反応により光学活性2ーアリ-ルー5ーピロリン類を最高83%eeの不斉収率で合成した. 2.軸不斉環境を有する全く新しい光学活性配位子(MOP)を開発した.この配位子はこれまでほとんど例のない単座配位性の光学活性ホスフィンであり,遷移金属化合物と組み合わせることにより従来の不斉配位子では実現不可能であった様々な高立体選択的不斉合成反応を開発できることが分かった.(1)PdーMOP触媒を用いた単純オレフィン(1ーアルケン類)の不斉ヒドロシリル化反応により光学活性二級アルコ-ルを高い不斉収率(94ー97%ee)で合成した.(2)PdーMOP触媒を用いた1,3ーエンインの不斉ヒドロホウ素化反応により光学活性な軸不斉アレニルボラン(60%ee)を合成した.(3)PdーMOP触媒存在下,酢酸ゲラニルあるいは酢酸ネリルの不斉ギ酸還元反応により光学活性ジエン(3,7ージメチルー1,6ーオクタジエン)を70%eeの光学純度で合成した. 3.電子状態の異なる一連の光学活性フェロセニルホスフィン配位子を合成した.また,それらの配位子を持つAu(I)あるいはAg(I)触媒を用いてイソシアノ酢酸エステルの不斉アルド-ル反応を高い不斉収率で行うことができた. 4.光学活性ロジウム錯体触媒を用いた1ーフェニルブタジエンの不斉二重ヒドロホウ素化反応を開発した.
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