研究概要 |
おもな研究成果を以下にまとめる。 (1)Iーメトキシー3ーフェニルチオプロペン類の一般合成法の確立。 αーエナ-ルアセタ-ルをBF_3・OEt_2存在下で当量のチオスタンナンと反応させると目的物が高収率で得られた。αーエナ-ル自体は本反応に使用できないが、野依らのアセタ-ル化法を本法と組み合わせると,αーエナ-ルからワンポットで目的物を得ることができた。 (2)アルキル化. (1)で得られたプロペン類をTHF中,ー78℃でtーBuLlと反応させ,ついでハロゲン化アルキルと処理すると対応するアルキル化体が得られた。本反応は,α位でのみ起き,γーアルキル化体はまったく生成しなかった。このようにして得たアルキル化体を,NaIO_4で酸化的に処理したところ,目的とする共役エナ-ルが,E体とZ体の混合物として高収率で得られた。これらの一連の反応の組み合わせにより,αーエナ-ルのβ位のアルキル化が連成されたことになる。本法を利用してnuciferal等を合成した。 (3)アルデヒド,ケトンとのアルド-ル型付加反応 (2)の反応でハロゲン化アルキルのかわりにアルデヒドまたはケトンを反応させるとアルド-ル型付加体が得られた。この場合にも反応は位置選択的にα位でのみ進行する。この付加体をMislowーEvan転位すると,γーヒドロキシーαーエナ-ルが、E体が95%以上の選択性で得られた。三置換,四置換二重結合も同様の選択性が得られた。 (4)オキシランとの反応 オキシランを求電子剤として同様の反応を行うと,δーヒドロキシーαーエナ-ルが得られた。この場合にもオレフィン結合は,二、三、四置換いずれも圧倒的にE優先であることが判明した。
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