研究概要 |
ピロメリット酸二無水物と4,4'ジアミノジフェニルエ-テルからなるポリアミック酸(PMDAー4,4'ーODA)にフェナンスレンを5wt%添加したものをド-プ液として、蒸発温度70℃、蒸発時間4分の条件でポリイミド非対称膜を作成し、超臨界炭酸ガスの膜透過特性と、超臨界炭酸ガスとエタノ-ル、メタノ-ル、イソオクタンとの分離に関する研究を行った。炭酸ガス透過実験では、超臨界状態での透過系数は気体状態と比較して増大し、この傾向は操作温度が臨界温度付近において顕著にみられた。これは超臨界状態になると密度が著しく増加し、膜への溶解度が増大したためであると考えられる。 次に超臨界炭酸ガスとエタノ-ル混合比15:1における分離実験では、分離系数は373K,15MPaで最大8.7、423K,15MPaで6.5が得られた。373Kでは膜間圧力の増加と共に分離係数は緩やかに増大し、423kでは膜間圧力にかかわらずほぼ一定であった。膜透過の活性化エネルギ-はエタノ-ルは2.6kJ/mol,超臨界炭酸ガスは7.1kJ/molであった。これはポリイミド対称膜としてエタノ-ルで約1/17,炭酸ガスで約1/10と非常に小さい値となった。 実験より得られたデ-タから、1mol%エタノ-ルを含む超臨界炭酸ガス混合流体からエタノ-ルを90%回収するのに必要な膜面積を求めると、373K,10MPaでは0.82m^2、423K,15MPaでは0.28m^2で得られた。 メタノ-ルとの分離実験では分離係数は約3.6、イソオクタンとの分離実験では約12.8が得られた。どちらも分離係数は膜間圧力にかかわらず一定の値を示した。
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