配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
亜鉛は原子炉の一次冷却水中に注入すれば,^<60>Coの冷却水中への溶出が防げることが明らかにされ,一部実用化されている.しかしながら,亜鉛はその同位体として,^<64>Znを約50%天然存在比として含む.この^<64>Znは熱中性子を吸収して^<65>Znになるが,これは放射性であり,半減期も245日と比較的長い.そこで天然存在の亜鉛から^<64>Znを除いた濃縮同位体が要請されている.クラウンエーテルをもちいて亜鉛の同位体分離を試みた.実験はクラウンエーテルを含む有機相中へ水溶液相の亜鉛を抽出する液ー液抽出法である.その結果,単位質量数差あたり単一段分離係数α=1.013を得た.亜鉛同位体は^<64>Znの次ぎにくるのは^<66>Znである.そのため^<64>Znを除くという目的にはα=1.026という値になる.この数字の示すことは,一度の分離操作で,2.6%の^<64>Znを除くことができるということで,^<64>Zn-free亜鉛の大量生産に充分適用可能である. クラウンエーテルによる同位体分離法の我々の経験から,水溶液相の塩濃度が薄い場合には,重い同位体が,濃い場合には軽い同位体が有機相に濃縮することが分かっている.この原理を液体膜法に適用すれば,さらに高い分離係数で,しかも連続的に亜鉛同位体が濃縮できる事が分かった. 亜鉛同位体濃縮の過程で,^<67>Znが他の同位体に比べ異常に大きい同位体分離係数を示す事を発見した.このことの詳しい原因は今のところ不明だが,その質量数が奇数であることによっていると考えられる.その観点から,ストロンチウム同位体およびバリウム同位体について同じくクラウンエーテルで分離を試みたところ,奇数同位体の特殊な効果があることを認めた.詳しい原因については今後の課題としたい.
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