研究概要 |
あらかじめラットバイオアセイを行ない,無尾類のウシガエルの成体では700個体,その幼生では4000個体,又,有尾類のイモリでは6000個体より鰓後腺を集めるとそれらのカルシトニンは純化可能と計算された。実際にはそれらを上まわる個体数が集められた。鰓後腺は凍結されたまま磨砕し,蒸溜水を加え煮沸し,プロテアーゼを失活させた。すばやく冷却後,酢酸を加え,ホモジェナイズした。遠心後,上清にアセトンを加え,遠心して高分子量の蛋白と脂肪を除去した。この粗抽出物の1/10量を0,1%のトリフロロ酢酸を含むアセトンニトリルの系を用いた逆相のHPLCにかけた。また,粗抽出物の一部はイオン交換HPLCにかけた後,同様に処理した。カルシトニンを含む分画は,サケ・カルシトニンの抗体を用いたイムノブロッティングによって追った。又,陽性の反応を示した分画のいくつかは,SDS-PAGEとウエスタンブロッティングによってさらにチェックし,アミノ酸のシーケンサーにかけた。 まず,ウシガエルにおいては,成体および幼生のどちらの粗抽出物においても2つの分画に強い免疫反応が認められた。SDS-PAGEの結果からそれらの分子量は約3,500と13,000と推定された。前者はカルシトニン,後者はプロホルモンと思われる。又,イモリにおいても分子量3,500の付近にカルシトニンと思われるバンドが得られた。しかしながら,結果として,ウシガエルとイモリにおいてこれ以降,仕事が進む為にはサンプルの量が不足しており,アミノ酸の配列と決定するには至らなかった。当研究室で行った魚類の場合と比較して,ラットバイオアセイの結果から十分量以上の鰓後腺を集めたはずである。従って,ウシガエルやイモリのカルシトニンはこれまで知られているカルシトニンよりもはるかに強力な血清Ca恒度低下作用をもっている可能性がある。
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