研究課題/領域番号 |
02454057
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土壤・肥料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐久間 敏雄 北海道大学, 農学部, 教授 (50001756)
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研究分担者 |
田中 夕美子 北海道大学, 農学部・附属演習林, 技官教務職員 (60221397)
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (20187230)
波多野 隆介 北海道大学, 農学部, 助教授 (40156344)
藤原 晃一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (00001503)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1990年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 酸性雨 / 森林破壊 / 森林土壌 / pH緩衝能 / 地球化学的循環 / 乾性沈着 / 山地流出機構 / 渓流水質 / 森林土譲 / pH緩衝作用 / 土壌生成作用 / 酸性土壌 |
研究概要 |
苫小枚および天塩の広葉樹林、針葉樹林およびササ草地において、土壌-植物系の窒素、硫黄、その他の無機元素現存量、循環および収支を測定し、酸性降下物の影響を生態系および流域レベルで考察した。 酸性降下物の影響は、林冠において強く修飾される。その機構は、乾性及び湿性降下物に対する捕捉、酸物質の取り込み、塩基類の放出、有機物の分泌からなり、広葉樹林では林内雨のpHを上昇させたが、針葉樹林では露地雨よりもやや低い林内雨pHをもたらした。これは、乾性沈着に対する林冠の捕捉効果の違いによるもので、針葉樹林は広葉樹林に比べて3倍の効率をもち、Ca^<2+>、K^+、NH^+_4などを放出してその影響を緩和する。樹幹流は林内雨よりも明らかに低いpHを示し、樹種による違いが顕著であった。林床の堆積腐植(O層)は、林内雨のH^+に対する効果的な障壁になっている。O層の酸中和容量は、現況H^+インプット量の20-30倍に達し、この地域の森林生態系が潜在的に大きな酸緩衝能をもつことが示された。土壌溶液pHは系外からのH^+というよりは土壌内部の硝酸化成によるH^+の生成と塩基交換に支配されている。硫黄と窒素の循環についても生態系の自律性が明瞭で、外部要因の影響をあまり受けていない。 積雪は冬期間の酸性沈着と酸の蓄積を促進した。雪面への乾性沈着速度は主なイオン種について30-100μ molc m^<-2> day^<-1>であり、沈着したイオンは積雪内を移動してザラメ雪層や氷盤の部分に濃縮され、融雪期から春にかけての森林土壌環境および流出に影響を与える。 流域レベルの観測でも、植生が流出機構、流出水の水質に大きな影響を与えていることが指摘された。とくに蛇紋岩土壌に立地するアカエゾマツ林地帯からの高水時の有機物流出を検討した結果、豪雨時の流出がO/A層を中心にした表層流の影響を強く受けていることが示唆され、山地流域の流出機構を考える上で重要な手がかりが得られた。
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