研究課題/領域番号 |
02454117
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
北里 宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20079700)
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研究分担者 |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80161397)
梅村 典靖 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20213499)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1990年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 膵β細胞 / 細胞内pH / 細胞内Ca^<2+>濃度 / 細胞内ATP濃度 / 電気的活動 / monensin / β細胞 / K^+ channel / 細胞内ATP / K^+チャネル |
研究概要 |
膵ランゲルハンス島β細胞は細胞外glucoseに反応して脱分極し、その脱分極の上にspikeが発生する。細胞外glucose濃度が10mM付近では、spike列は突然の再分極により中断され、その再分極に引き続いて緩やかに脱分極し、再びspike列が発生する。すなわち、活動期と休止期とが交互に現れる。細胞外glucoseによる脱分極は細胞膜のATP-sensitive K^+channelが閉じることに由来するということに現在意見の一致を見ているが、spike列を中断させる再分極の機構は未だ解明されていない。この研究はspike列を中断させる再分極の機構を明らかにすることを目的に始められたものであり、昨年度までの研究から、細胞外glucose濃度の上昇に従って細胞内ATP濃度は上昇し、spike列発生の時期に一致して細胞内Ca^<2+>濃度は上昇することが明かとなった。 今年度の研究において、次の実験結果がえられた。細胞外に11.1mMglucoseが存在する場合、細胞外Ca^<2+>を取り去ると、spike列を中断する再分極は消失し、連続的にspikeが発生するようになるにも拘らず、細胞内Ca^<2+>濃度は低下した。細胞外Na^+をcholine,Tris,N-methyl-D-glucamineで置換することによりNa^+濃度を25mMに下げても、連続的にspikeが発生する。しかし、この条件下では細胞内Ca^<2+>濃度はむしろ上昇した。細胞外Ca^<2+>を取り去ると細胞内ATP濃度は上昇し、同様に細胞外Na^+濃度を25mMに下げると置換するイオンの種類とは無関係に、細胞内ATP濃度は上昇した。Na^+/H^+として働くmonensinを与えると、休止状態が持続すると共に細胞内ATP濃度は低下した。以上の実験結果から、spike発生時にATP濃度があるレベル以下に低下することがspike列を中断させる再分極を惹起したと考えざるを得ない。細胞内ATP濃度の低下は細胞内Na^+濃度上昇によるNa^+/K^+ポンプ活動の亢進の結果であり、細胞内Na^+/Ca^<2+>交換輸送の促進によることを示す結果を得た。
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