研究概要 |
この研究では、細胞膜の電位依存性Caチャンネルの調節機構を解明するために電気生理学的および生化学的実験を行った。 1.心筋Caチャンネルにinsideーoutパッチで蛋白キナ-ゼを作用させその効果を調べた。Aキナ-ゼではチャネル活動の増大が認められたが、Cキナ-ゼではチャネル活動に著しい変化を認めなかった。 2.心筋Caチャンネルを再構成したリポゾ-ムを用いて、蛋白キナ-ゼのCaチャンネルに及ぼす影響を調べた。ウシ心筋Caチャンネルを再構成したリポゾ-ムからK脱分極で誘発されるnifedipine感受性のCa流束は、Aキナ-ゼにより約2倍に増加した。これに対し、Cキナ-ゼは有意の効果を示さなかった。 3.上記のリポゾ-ムにおいて、Aキナ-ゼは、200k,170k,150k等の膜蛋白質をリン酸化した。一方、Cキナ-ゼでは、150k,125k,108k等の膜蛋白質がリン酸化を受けた。200kDの蛋白質は、azidopineの結合からCaチャネルのα_1サブユニットと考えられた。 4.心筋Caチャンネルに対するG蛋白質の直接作用を検討するため、cellーattachedパッチとinsideーoutパッチの実験を行ったが直接作用を支持する結果は得られなかった。 5.蛋白キナ-ゼが平滑筋のCaチャンネルの調節に関与するかについて検討した。モルモット盲腸紐の平滑筋細胞からcellーattachedパッチ法でCaチャンネル電流を記録し、フォルスコリンおよびフォルボ-ルエステルを作用させたがチャンネル活動に一貫した変化は見られなかった。さらに、insideーoutパッチでAキナ-ゼや蛋白フォスファタ-ゼの抑制薬はチャンネル活動に有意の変化を示さなかった。
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