研究概要 |
1.狂犬病ウイルス街上毒感染マウス脾細胞の細胞障害活性(CMC)は,感染4日目迄は一過性の応答が見られるが、その後は急減に低下する。これとほぼ平行するように,脾細胞のCon Aに対する増殖性応答,IL-2産生能,外的IL-2に対する応答性,Con Aに対するIL-2リセプター発現能が低下し、脾細胞絶対数の著明な減少が認められた。 2.CD4^+,CD8^+細胞の選択的減少は認められなかったが、CTLの分化を抑制するCD8^+細胞の出現が認められた。 3.マクロファージからのIL-1,Prostaglandin E_2産生の異常は認められなかった。 4.感染マウスにIL-2を連続4日投与により,マウスの死亡率は明らかに低下し,脾細胞のCMC活性は上昇した。 5.感染にともないリンパ球のCon Aに対する応答とIL-2産生を抑制する物質が血中に出現するが、この物質はCD8^+細胞が産生し、分子量10万以上のタンパク質であることが判明した。 以上の所見は、今後詳細な研究が必要なインヒビター様物質を含め、ウイルス感染により何らかの原因でIL-2産生が抑制されることが、広範な細胞性免疫抑制の引き金になっていることを最も強く示唆するものと思われた。
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