研究概要 |
膠原病、とくにSLEやRAの発症要因としてのvirusの役割りを解明する目的で、患者血清中のウイルス抗原及び癌遺伝子蛋白に対する抗体を検索した。先ずEpstein-Bar virus(EBV)の役割りを、EBV感染細胞株(Raji,P3HR-1)とEBV genome陰性株(BJAB,Ramos)を指示細胞としてその融解液上澄とのimmunoblotting反応を検討したところ、SLE,RA患者血清中にはEBNA type-II,-III,-IVに対する抗体発現率と抗体価が正常人にくらべて著しく高値を示した。又in site hybridationで、患者B細胞中のEBNA陽性細胞数は正常人の約3倍も存在した。また上記抗EBNA抗体の高い血清中には、Raji細胞の66K抗原に対する抗体も強く認められた。次に骨髄系白血病細胞株(K-562,KG-1,HL-60,U-937)および正常人末梢血好中球、単球の細胞融解液上澄を指示抗原として、その電気泳動蛋白と患者血清とのimmunoblottingを行なったところ、SLE患者血清中には極めて多種の抗体が存在し、特に31-35K,36-40K,41-45K,46-50K,51-55K,56-60K蛋白に対する抗体が著明であった。そこで上記指示細胞をTPAまたは活性型ビタミンD_3でin vitro分化誘導して再度その融解液上澄とのim ormationと関連があり、且つSLE患者血清に癌遺伝子蛋白に対する抗体価の高い所見は、virus感染に続く癌遺伝子活性化が膠原病の発症のtriggerとして重要性をもつ事実を示唆している。
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