研究課題/領域番号 |
02454222
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
石川 兵衛 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40075065)
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研究分担者 |
椎木 英夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50187316)
藤井 謙裕 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60156833)
土肥 和紘 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20142375)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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キーワード | ILー6 / IgA腎症 / サイトカイン |
研究概要 |
IgA腎症に代表されるメサンギウム増殖性腎炎(mesPGN)は、メサンギウム増生を特徴とするもので、その発症にはサイトカインなどの増殖因子が関与するものと考えられている。すでにわれわれは、インタ-ロイキン6(ILー6)がメサンギウム細胞のautocrine growth factorであることを明らかにしており、IgA腎症を含めたヒト・メサンギウム増殖性糸球体腎炎の発症・進展機構に関与していることを証明した。一方、IgA腎症患者の約20%が腎不全に至ることが報告されているが、有効な予後判定因子がないので予後判定は腎生検による組織診断に頼らざるを得ないのが現状である。そこで今回は、予後判定因子としての尿中ILー6活性測定の有用性を明らかにする目的で、尿中ILー6活性の経時的推移について検討した。 まず尿中ILー6の由来を明確にする目的でIgA腎症患者の腎生検組織を抗ILー6抗体を用いた蛍光抗体法で染色した。ILー6の局在がメサンギウム域に認められたので、尿中ILー6はメサンギウム細胞由来であることが示唆された。つぎに初回腎生検時に有意のILー6活性が認められた10例のIgA腎症をメサンギウム増生の程度から試度メサンギウム増生群(I群)と中等度メサンギウム増生群(II群)の2群に分類し、約1年間の臨床経過観察と経時的尿中ILー6活性の測定を行った。I群については、全例の尿中ILー6活性が測定感度以下に低下し、全例が尿蛋白の陰性化と臨床症状の改善を示した。一方、II群は、尿中ILー6活性上昇を示す症例と測定感度以下に低下する症例に分かれた。そこでII群全例に再生検を施行したところ、尿中ILー6活性の上昇を示す症例は糸球体病変の悪化を示した。つまり、尿中ILー6の上昇と組織病変の進展に相関が認められたことになる。以上の成績から、尿中ILー6活性の経時的測定はIgA腎症の予後判定にきわめて有用であると考えられる。
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