研究課題/領域番号 |
02454232
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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研究分担者 |
片山 和宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
佐々木 裕 大阪大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1991年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | hepatitis B vines / Xーgene / Xーprotein / oncogene / HCC / carcinogenesis / replication / HLA class I antigen / hepatitis B vins / Hcc / integration / B型肝炎ウイルス / X遺伝子 / X蛋白 / X抗体 / 癌遺伝子 |
研究概要 |
B型慢性肝炎症例での検討では、X蛋白は肝細胞質に発現しており、発現部位は他のウィルス抗原特にHBc抗原の発現部位とほぼ相関がみられた。さらにX蛋白発現症例では血中ウィルスマ-カ-であるHBVーDNA量が有意に高値であり、発現したX蛋白がウィルスの増殖を促進している事が推測された。またB型の肝癌症例で、手術により癌部の摘出が行われた3症例での検討では癌部でのX蛋白の発現は認められず、X蛋白と癌の増殖進展との関連性は否定的であったが、癌部隣接の非癌部でのX蛋白の発現が3例中2例に認められ、肝発癌初期でのX蛋白の関与が示唆された。さらに、B型の慢性肝炎・肝硬変症例で、癌遺伝子のcーmycとcーHaーras遺伝子の発現を検討すると、X蛋白発現症例でcーmycの発現頻度が有意に高率に見られた。但し両者の発現部位に有意の相関は見られず、これら癌遺伝子発現がX蛋白による直接的な作用によるものか、もしくはウィルス増殖とそれに随伴する肝炎後の肝再生機構を介した間接的な作用によるものかの判定には、今後の検討が必要と考えられた。 B型肝炎ウィルス遺伝子を、肝癌細胞株であるHUH6に導入し染色体に組み込む事でHBウィルスを産生する細胞株HB611を用いて、ウィルス増殖と細胞遺伝子であるHLA(class I)抗原発現との関連を検討した。このHB611では、核周辺細胞質でのX蛋白の発現が確認されている。このHB611でのウィルス増殖をアシクロビル前処置にて抑制すると、HLA抗原の発現が増強することより、ウィルス増殖がHLA抗原の発現を抑制している事が示された。HLA抗原発現低下は、生体免疫機構による抗原認識能の低下の原因となるため、癌の進展や転移と関連が有ると考えられ、今後この方面での検討が必要と思われる。
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