研究課題/領域番号 |
02454238
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 悦郎 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10201831)
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研究分担者 |
葛巻 暹 (葛巻 のぼる) 北海道大学, 医学部, 教授 (80091445)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1991年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1990年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | 顆粒球マクロファ-ジコロニ-刺激因子 / インタ-ロイキン3 / マクロファジ-コロニ-刺激因子 / 透転写ポリメア-ゼチュインリアクション / サルコイド-シス / 気管支肺胞洗浄 / マクロファ-ジコロニ-刺激因子 / 逆転写ポルメア-ゼチェインリアクション / GMーCSF / ILー3 / MーCSF / PCR / BAL |
研究概要 |
サルコイド-シスでは肺局所に多数の肺胞マクロファ-ジが集積するが、その機序を明らかにするために、各種のコロニ-刺激因子のmRNA発現を検討することを目的とした。気管支肺胞洗浄によって得た。主として肺胞マクロファ-ジとリンパ球からなる炎症細胞からRNAを抽出した。次いでMーCSF,ILー3,GMーCSF3種のCSFのprimerを合成し、reverseーtranscription polymerase chainーreaction(RTーPCR)法にて、目的のCSFのmRNAの検出を試みた。 その結果、MーCSFは健常者、サルコイド-シス患者、農夫肺症患者のいずれにおいても検出された。一方、ILー3についてはすべての群で検出されなかった。またGMーCSFについては、サルコイド-シス患者20人中15人において発現を認めたが、健常者、農夫肺症患者では1例も認められなかった。GMーCSFは単球の活性化、分化、増殖を介して、サルコイド-シス肺局所での肺胞マクロファ-ジの集積に関与すると推測される。また肺胞マクロファ-ジの細胞融合作用もあり、肉芽腫内の多核巨細胞の形成にも関係していると考えられる。一方、同じ肉芽腫性肺疾患でもサルコイド-シスと農夫肺症では、GMーCSFmRNAの発現状況が異なっており、病態の差異を示唆していると考えられ、興味深い知見と言える。 次に本研究では、サルコイド-シスにおけるGMーCSFmRNA発現と、その臨床的意義について検討を加えた。その結果、GMーCSFmRNA発現群では気管支肺胞洗浄液中のリンパ球比率、CD4/8比率、血清ACE値、肺外病変を有する比率などは、非発現群に比して有意に高かった。またGMーCSFmRNAの発現を調査した時から、retrospectiveに臨床経過とmRNAの発現の関係を検討したところ、胸部X線写真上不変ないし増悪傾向にある例が発現群に多かった。さらにprospectiveな検討でも同様な関係を認め、GMーCSFが実際に病態に深くかかわっていることが裏付けられた。 以上より本研究では、RTーPCR法を用いることにより、微量のmRNAの検出に成功しサルコイド-シスの病態の一端を解明するとともに、その発現と臨床像の関連を世界に先駆けて報告することができた。
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