研究課題/領域番号 |
02454244
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 輝夫 (1991) 東京大学, 医学部(病)講師 (00107666)
萬年 徹 (1990) 東京大学, 医学部・医学科, 教授 (10010208)
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研究分担者 |
桜井 正樹 東京大学, 医学部(病), 教務職員 (30162340)
桜井 正樹 東京大学, 医学部, 教務職員 (70225845)
清水 輝夫 東京大学, 医学部, 講師 (00107666)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1991年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | ナトリウムチャネル / リドカイン / 脱髄 / 多発性硬化症 / 海馬長期増強 / カルシウムチャネル / 筋緊張症 / メキシレチン |
研究概要 |
刺激症候を有する多発性硬化症(MS)患者20例に対し、リドカインを点滴静注したところ、有痛性強直性発作などの突発性症候(n=18)に劇的な効果がみられた。しびれ感などの持続性刺激症状(n=18)でも17例で著効ー有効であった。以上の事実はMSをはじめとする神経疾患における刺激症状の治療に新地平を開くと共に、MSの診断評価としてのリドカインテストの理論的基礎となった、低用量リドカインで脱髄部での伝導遮断が生じるという仮説を別の面から支持するものである。一方、MS患者の中に、数年にわたり、明らかな臨床的増悪がないにも拘らず、リドカイン負荷効果が遷延性にみられる症例があることを見出だし(n=7)、ステロイドパルス療法を施行したところ、全例でリドカイン負荷効果の減弱が、6例で治療前から存在した顕性症状の著明な改善がみられた。これらの中にはIgG index値が高い症例も多く、従来の増悪寛解型、慢性進行型とは別の「くすぶり」型とでも言うべき亜型が存在する可能性が示唆される。 基礎実験系では、機械的電気的に安定なミクロ生理実験系が確立され、この系を利用して、海馬スライス標本を用い、記憶・痴呆との関連で注目されている長期増強発現のメカニズムの研究を行った。長期増強の発現には充分量のCaがシナプス後細胞へ流入することが必要であるが、このCaは、シナプス後細胞の脱分極により、MgによるブロックがとれたNMDA受容体チャネルを介して流入すると理解されている。我々は、従来、長期増強ではなく、むしろ抑圧が生じる低頻度刺激でも、Mg非存在下では、長期増強が生じることを発見した。また、この条件下では、条件刺激中に、樹状突起上にGABAを適用し、シナプス後細胞の脱分極を阻止すると、長期増強の発現も阻止されることを見出だした。これは、NMDA受容体チャネルのMgブロックが解除された条件下でもなおシナプス後細胞の脱分極が必要であることを示し、長期増強の発現にはシナプス後細胞のCa濃度上昇が充分条件であることと考え合せると、樹状突起上の膜電位依存性Caチャネルが必須の役割をはたしていることが示唆される。
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