研究分担者 |
太田 郁郎 山形大学, 医学部, 講師 (70143097)
小熊 正樹 山形大学, 医学部, 講師 (10160821)
八巻 通安 山形大学, 医学部, 助手 (40191217)
池田 こずえ 山形大学, 医学部, 助手 (30184419)
久保田 功 山形大学, 医学部, 講師 (30161673)
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研究概要 |
陳旧性前壁心筋梗塞患者30例(心室頻拍を有するMI-VT(+)群10例.心室頻拍を有さないMI-VT(-)群20例)と健常者30例を対象に、体表面加算平均心電図を施行し、周波数分析の結果と心室頻拍との関連を検討した。体表面87誘導の心電図をVCM-3000を用いて160秒間記録し、NEC9801により加算平均処理したのち、ミニコンVAXを用い、QRS部分を高速フーリエ変換し、0〜25,25〜40,40〜80,80〜150,150〜250Hzの各周波数帯域で逆フーリエ変換した。それぞれ、再合成波形の絶対値をとり、QRSの面積を求めた。心筋梗塞群では、MI-VT(+)群,MI-VT(-)群ともに、正常例と比較して、25〜40,40〜80,80〜150Hzの成分が有意に減少していた。さらに、MI-VT(+)群は、MI-VT(-)群に比し、40〜80,80〜150Hzの成分が有意に減少していた。 また、雑種成犬の左前下行枝を結紮して、実験的に心筋梗塞を作成し、4週間後に、心表面60点の電位を記録し、臨床例と同様に高速フーリエ変換したのち、0〜25,25〜40,40〜80,80〜150,150〜250Hzの各周波数帯域で逆フーリエ変換して、周波数分析を行った。心筋梗塞群8例では、対照群6例に比し、左前下行枝領域のQRS部の、25〜40,40〜80,80〜250Hzの成分が有意に減少した。非梗塞領域の電位には各帯域ともに、有意の変化はなかった。 臨床例、犬実験モデルにて、体表面および心表面において、心筋梗塞部のQRSの高周波成分の減少が認められた。この高周波成分の減少は、心筋梗塞後のscarにおける電気的活動の減少を反映すると考えられ、興奮伝播性の低下興奮波の分裂などに関連をもつと考えられ、心室頻拍のsub strateの存在を示唆するものと考えられた。
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