配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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研究概要 |
神経線維腫症には幾つかの病型がみられるが、古典的レックリングハウゼン病はNF1,両側性聴神経腫瘍を有するものはNF2と分類されている.NF1の遺伝子は1990年7月にクローニングされ,その後に全塩基配列が明らかにされた.NF1遺伝子には49のエクソンがあり,われわれはこれらのエクソンについて,PCR-SSCP法を用い30例のNF1患者の遺伝子検索を行ったが,変異のある症例は認められなかった.これは遺伝子が約300kbpと巨大なためであり、さらにイントロンを含めた検索を進める必要がある.一方,NF2の遺伝子はいまだクローニングされていないが,リンケージ解析から22q111-13.1に坐位するものと考えらている.また,多発性神経鞘腫症とNF2との異同も明かではない.われわれは7例の多発性神経鞘腫症患者の白血球と皮膚神経鞘腫からDNAを抽出し,22q11.1-13.1のDNAマーカーを使用して,Southern blot法を施行した.D22S15を使用した場合,1症例で腫瘍DNAの3.1kbpのバンドが消失しており,他の1症例では腫瘍からのバンドが白血球の50%に減弱していることから,ヘテロ接合性の消失が認められた,さらにD22S15より動原体側にある白血病抑制遺伝子LIFをプローブとした場合にも,上記2例では腫瘍シグナルの50%の減弱が認められた.また,LIFよりも数百bp動原体側にあるプローブe5では,上記2例に加え他の1例でも腫瘍バンドの減弱をみとめ,e5より動原体側のcEWでは7例全例でヘテロ接合性の消失は認めなかった.以上の結果から多発性神経鞘腫症はNF2と同一疾患であり,聴神経腫瘍を合併しないものであると考えられる.また,その遺伝子はNF2と同様に22番染色体の長腕の白血病遺伝子LIFの100〜200kbp動原体側にあるものと推定された.
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