研究課題/領域番号 |
02454296
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 紀 (1992) 東京大学, 医学部(病), 助手 (40170724)
多田 祐輔 (1990-1991) 東京大学, 医学部(病), 助教授 (70010246)
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研究分担者 |
大島 哲 東京大学, 医学部(病), 助手 (00233099)
進藤 俊哉 東京大学, 医学部(病), 助手 (50206322)
白川 元昭 東京大学, 医学部(病), 助手 (20211295)
江上 純 東京大学, 医学部(病), 助手 (80232932)
古屋 隆俊 東京大学, 医学部(病), 助手
佐藤 紀 東京大学, 医学部(病), 助手 (40170724)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ハイブリッド型人工血管 / 小口径人工血管 / 血管内皮細胞 / 細胞培養 / 超極細ポリエステル繊維 / Endottelial tell seeding / Predined graft / Endothelial cell seeding / Prelined graft |
研究概要 |
我々は小口径人工血管の開存性を向上させるために、人工血管上に血管内皮細胞を移植する所謂ハイプリッド型人工血管の研究を行なってきた。平成3年度までは、あらかじめ採取培養増殖させたイヌ内皮細胞を内径7mmの人工血管に植えつけその生育状態をin vitroで観察する実験と、続いてこの内皮細胞を植えつけた人工血管を犬の腹部大動脈へ移植しin vivoにおける移植血管の組織学的変化を4か月まで経時的に検討する実験を行い、その成果はこれまで報告してきた。今年度は1、内径4mmの小口径人工血管を用いてsecdingされた内皮細胞が果たして開存率向上に貢献するか否か、2、ヒト内皮細胞を用いたin vitroの基礎実験で、人工血管上の内皮細胞の付着力を向上させるための要素は何か、内皮細胞の凍結保存により機能変化は生じるか、といったテーマを中心に検討を進め、臨床応用に向けての準備とした。(研究成果)1、直径4mmのイヌ内皮細胞のscedcd graftを7本作成し、細胞を植えつけないcontrol graftと共にそれぞれ左右にイヌ頸動脈に移植し、3ケ月後に回収して比較検討した。control graftはすベて閉塞したのに対して、sccded graftは7本中2本開存した。開存したgraftを検討すると中央部では内皮細胞の一層構造が形成され薄い内皮下組織に支えられていたが、吻合部では内皮細胞層の下に厚い内皮下組織が形成され宿主管の肥厚した内膜へと連続しているのが観察された。又、閉塞したgraftの中には吻合部には器質化した硬い白色血栓があっても、中央部には新鮮な赤色血栓のみ観察されるものがあった。2、in vitroの拍動流循環回路を作成し、成人大伏在静脈より採取した内皮細胞をsccdingしたePTFE graftを組み込んで90分間shear stressを加え、付着力に及ぼすseeding細胞濃度とseeding後移殖するまでのgraftの培養時間の影響を検討した。confluent濃度でseedingした場合は24時間培養で付着力が最大になりそれ以降は低下した。hypoconfluent濃度でseedingした場合は7日間培養して細胞がgraft上でconfluentになった時に最大の付着力を示した。3、成人大伏在静脈より採取した内皮細胞を用いて凍結保存の機能面へ及ぼす影響を調ベた。その結果、凍結保存されたヒト血管内皮細胞はPGI_2放出能、tPA産生能を維持していた。(考察)臨床においては末梢動脈血行再建の際に問題となる晩期閉塞の最大の要因は吻合部内膜肥厚であると言われている。今回我々の行なった実験では、細胞を移植しても吻合部とgraft中央部の組織学的反応が異なり、graft中央部では坑血栓性を得ても、吻合部では内膜肥厚が生じてくることが見いだされ、閉塞の原因になりうることが推定された。吻合部内膜肥厚の原因は平滑筋の過剰な増殖であるとされている。今後の研究の方向としてはseedingに加え、平滑筋の増殖をcontrolする方法を検討して行くことが大切であると思われる。一方、ヒト内皮細胞を用いた基礎実験で細胞は凍結保存にたえうること、一定の条件下ではseedingされたgraft上で十分な付着力を持つことが明らかになり臨床応用への発展が期待される。
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