配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
1.目的:人工赤血球ネオレッドセルはストローマフリーヘモグロビンをリポゾーム内に封入したもので,効率の良い安全性の高い酸素運搬体と考えられている。本年度の研究では雑種成犬を用いて血液をネオレッドセルで変換する軽度および高度の血液交換実験を行い,酸素運搬能,循環動態,安全性を検討した。 2.成績 (1)酸素運搬能:ヘモグロビン1g当たりの動静脈血酸素含量較差は血液交換前に比して2〜4倍に増加し,特に希釈率88以上の高度希釈例では0.16±0.049ml/dl/gから0.64±0.156ml/dl/gへと著しく増加した。酸素消費量は高度希釈例でも交換前とほぼ等しく著変を認めなかった。PaO_2,PvO_2,PaCO_2,PvCO_2,動脈血pHにも血液交換の前後で著変はみられなかった。 (2)循環動態:血液交換後血圧は有意に低下し,心拍出量は有意に増加した。従って全末梢血管抵抗は交換前に比し,軽度希釈例で52%,高度希釈例で35%と低下した。右房圧,左房圧,肺動脈圧,肺血管抵抗には著変を認めなかった。 (3)安全性:高度希釈にもかかわらず動物は生存し,犠死後の剖検でも肝クッパー細胞がネオレッドセルを貧食している像を以外には著変をみなかった。 3.結論:ネオレッドセルは天然赤血球を上回る酸素運搬能を有し,その低粘性により末梢循環に好影響を与え,安全性の上でも特に問題のない優れた人工血液と考えられた。
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