研究分担者 |
田川 邦夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40028296)
西村 元延 大阪大学医学部, 附属病院, 医員
谷口 和博 大阪大学, 医学部, 助手 (90171842)
金香 充範 大阪大学, 医学部, 助手 (70169580)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部付属病院, 医員
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研究概要 |
本年度までの研究は,ラット潅流心モデルを用い,通常の心筋保護法ではその保護効果に問題を有する肥大心におけるterminal cardioplegiaの保護効果を,エネルギー代謝,細胞内Ca^<2+>動態を通常の再潅流施行時との比較において検討すること,及び細胞内ナトリウム濃度の変化について検討を行うことの2点について重点的に行い,以下の成果が得られた. (1)腹部大動脈ー大静脈に短絡を作成した後4週を経過させることにより心筋重量が2倍になった肥大心筋群では,虚血20分後の細胞内Ca^<2+>の上昇は正常心筋に比し有意に高値であった.また,再潅流5分後の細胞内Ca^<2+>の濃度は,肥大心筋群で正常心筋群に比し有意に高値であった. (2)この肥大心筋群においても,正常心筋群と同様,再潅流時にterminal cardioplegiaを施行することにより,再潅流時に発生するCa^<2+>濃度の一過性上昇が抑制され,terminal cardioplegia非施行群に比し早期に細胞内Ca^<2+>濃度が正常化され,再潅流後の心機能回復率も有意に高値となった.また,再潅流20分後の心筋内ATPおよび総アデニンヌクレオチド量はterminal cardioplegia施行の有無にかかわらず両群間に有意差を認めなかったことより,terminal cardioplegiaは肥大心筋においても,再潅流時の細胞内Ca^<2+>濃度変化を早期に正常化することにより心機能低下を軽減するものと考えられた. (3)ラット潅流心の無酸素ー再酸素化モデルを用い,細胞内ナトリウム濃度変化について検討した.その結果,細胞内ナトリウム濃度は虚血20分後に虚血前値と比し有意に上昇した後,再潅流10分後に正常化することが明かとなった。
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