研究課題/領域番号 |
02454338
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 潔 順天堂大学, 医学部, 教授 (10112707)
|
研究分担者 |
宮島 雅一 順天堂大学, 医学部, 助手 (60200177)
須田 喜久夫 順天堂大学, 医学部, 助手 (00206559)
武田 信昭 順天堂大学, 医学部, 助手 (00171645)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 講師 (70167229)
門田 静明 順天堂大学, 医学部, 助手 (60204517)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 先天性水頭症 / 先天性水頭症ラットHTX / シナプス関連蛋白 / 神経成長因子 / 神経細胞骨格蛋白 / コリンアセチル基転換酵素 / 酵素免疫測定法 / Immunoblotting / 免疫組織化学染色 / tubulin / Tau蛋白 / MAP2 / 脳室腹腔短絡術 / SVPー38 / Drebrin |
研究概要 |
先天性水頭症ラットHTXを用いて先天性水頭症が脳の神経細胞とシナプスの形成を如何に障害するかを検索した。先ず、(1)シナプス関連蛋白SVP-38及び後シナプス蛋白Drebrinに対する単クローン抗体を用いてImmunoblot analysisと免疫組織化学的検索を行い、SVP-38は4週齢でその発現が著明に障害されるが、Drebrinは生直後よりその発現が障害されていることを明かとした。しかし、生後早期に脳室腹腔短絡術を施行するとSVP-38の減少を阻止し得ることより、この蛋白代謝障害は水頭症によるシナプスの二次的形成障害を反映するものと推定された。一方、(2)神経細胞分裂、神経軸索流、神経突起の伸展など脳の神経細胞の動的機能の発現に重要な役割を果たす神経細胞骨格蛋白にも着目し、Immunoblot analysisと免疫組織化学的検索を行なった。樹状突起と軸索の両者の存在する微小管構成蛋白であるTubulin、また、軸索に存在し、微小管の架橋蛋白であるTau proteinは、水頭症の進行にも関わらず、4週齢に至るまで何らの障害も受けなかった。また、樹状突起に局在し、微小管の構成蛋白であるMAP2を検索したところ、その幼若型、即ち、MAP2cは生後早期から障害されることが判明した。この知見は胎生期に発來した水頭症の影響とも考えうるが、MAP2c発現に関与する遺伝子レベルの障害も考慮すべきと考察した。(3)神経成長因子はコリン作動神経系の発達分化とその生存維持に関与するとされるので、これを脳各部位で酵素免疫測定法にて定量した。3週齢及び4週齢の頭頂一後頭葉皮質では、コリン作動性神経の発達障害とは逆に神経成長因子の増加を認めた。この増加は神経成長因子の逆行性軸索輸送の障害と共に、神経細胞傷害により二次的に活性化された膠細胞が当該因子を分泌することに起因すると推定された。今後これらの研究成果を踏まえ、先天性水頭症と神経回路網の形成障害に対する薬物治療、また、遺伝子治療の開発を研究目標とする所存である。
|