研究課題/領域番号 |
02454344
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
琴浦 良彦 京都大学, 医学部, 助教授 (50127081)
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研究分担者 |
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 多発性外骨腫 / 二次性軟骨肉腫 / 連鎖解析 / ヘテロ接合性の消失 / p53癌抑制遺伝子 / 脱分化型軟骨肉腫 / linkage analysis / 染色体分析 / ヘテロ接合性消失 |
研究概要 |
本研究では主として二つのアプロ-チから多発生外骨腫及びそれに続発する軟骨肉腫の病態の解明をめざした。一つは多型性マ-カ-を用いた連鎖解析による多発性外骨腫の原因遺伝子の存在部位の同定である。これは未だ統計学的に有為な判定を下すために十分な試料が得られず、今後も試料収集を続行する必要がある。次にもう一つのアプロ-チとして、いくつかの遺伝性腫瘍において成功している、腫瘍においてヘテロ接合性の消失(loss of heterozygosity:LOH)が認められた染色体上にその原因遺伝子が存在しているという作業仮説のもとに、各染色体上の多型性マ-カ-を用いて軟骨肉腫におけるLOHを検索した。その結果高頻度にLOHを示した染色体は検出されなかったが、17番染色体短腕のマ-カ-では15例中6例(40%)の腫瘍でLOHを認めた。更に同部位に存在する癌抑制遺伝子の一つであるp53遺伝子を解析したところ4例において点突然変異が検出された。即ち軟骨肉腫における17pのLOHはp53遺伝子の異常に関連したものであることが判明した。興味深いことに、このp53遺伝子の変化は悪性度の高い腫瘍、特に脱分化型軟骨肉腫において高頻度に認められ、低悪性度の軟骨肉腫では検出されなかった。この結果はp53遺伝子の変化が正常組織から骨軟骨腫、あるいは軟骨肉腫へと変化する過程ではなく、その後の腫瘍の進展に関与していることを示唆する。また脱分化型軟骨肉腫において高頻度に異常が認められたことは、p53遺伝子の異常と分化形質の発現制御との関連を示唆し興味深い。このように本研究では原因遺伝子の単離に関してはいまだその端緒を得ていないが、悪性化に関わる遺伝子の変化としては今後の研究の手がかりが得られた。今後更にin vitroにおける悪性形質の抑制、分化形質の再獲得の実験など細胞生物学的なアプロ-チを含めその実体の解明を進めていきたいと考える。
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