研究概要 |
1.頭頚部悪性腫瘍の制癌剤感受性について 迅速サイミジン法(RTIA)とATP法を用いて、頭頚部固形癌の制癌剤感受性を研究した。その結果,RTIA法を行った167症例,322検体の評価可能率は51%(85/167)であったのに対し,ATP法では,51症例288検体の評価可能率は94%(48/51)と良好であった。両法による薬剤感受性一致率は,MMC83%,CBDCA75%,CDDP70%,5-FU70%,PEP60%,ADM29%で,合計一致率は67%(34/51)であった。ADMの不一致率が問題となった。臨床相関に関しては,RTIA法の10例では,有効剤無効剤の正答率を含め,70%の臨床相関率であった。ATP法の6例では,83%(5/6)の正答率であった。しかし,無効剤の正答率が高いのは他科の報告と同じで問題であった。現時点では,ATP法の方が,短期間で結果がでて,評価可能率,臨床相関率も良く,有望な方法であった。 2.頭頚部固形癌に対する温熱療法との相乗効果について (1)温熱療法と化学療法の相乗効果:CDDPとその誘導体のCBDCAが癌細胞に対する温熱療法と相乗効果を示すかをV-79細胞を用いて研究した。両薬剤とも,温熱耐性細胞の感受性を少し上昇させた。また,低温熱の42℃での温熱耐性の発現を両薬剤とも抑制した。 (2)温熱と光線力学療法(PDT)の相乗効果:PDT単独では微小癌にしか根治効果がない。そこで温熱療法との併用が考えられているが,どちらをどう先行させたら良いかは不明である。C3Hマウスの移植扁平上皮癌を用いて,温熱の時間差(30,60,90分)とPDTのエネルギー差(0,18,36,72,107J)の組合せで最高の組合せを検討した。その結果,温熱でも,PDTでも高投与量を最初に用いた場合に,効果が最高であった。この組合せ理論は,今後臨床への応用が期待される。
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