研究概要 |
コラ-ゲナ-ゼ・インヒビタ-遺伝子の発現調節に関与するプロモ-タ-部分をクロ-ニングすることを目的として研究して来た。この為に,既知の遺伝子を基に隣接するDNA部分を単離する方法について検討した。その方法として開発されたinverse polymerase chain reaction(PCR),singleーspecific primer PCR 及びnested PCR 法があるが,前2者ではコラ-ゲナ-ゼ・インヒビタ-MIのプロモ-タ部分の単離は不成功であった。しかし、nested PCR法により,MI遺伝子のプロモ-タを含む500bpの大きさのDNA断片を単離することが出来た。 牛肺DNAを制限酵素EcoRIで消化後,それ等消化DNA断片の両端にEcoRIカセットをT4ーDNAリガ-ゼにより結合させた。この両端にEcoRIカセットを持ったDNA断片をヰ型としてMI遺伝子の5′未端から141〜160ヌクレオチドにわたる部分と相補的な合成ヌクレオチドSIとEcoRIカセット・プライマ-Clをプライマ-として耐熟性RNAポリメラ-ゼによるPCRをDNA thermal cyclerにより30サイクル行った。次に,このDNA産物をヰ型として,上記MI遺伝子の5′未端から10〜29ヌクレレオチドにわたる部分と相補的な合成ヌクレオチドS2及びEcoRIカセット・プライマ-C2をプライマ-として用いて上記と同様なPCRによる増幅反応を行った。その結果,約500bpの大きさのDNA産物を得ることが出来た。尚,このようなDNA産物は,予めEcoRIカセットを結合されるリガ-ゼ反応を行わない場合には産生されなかった。従って,この500bpDNA片はEcoRIカセットにはさまれた部のDNA,即ちMI遺伝子のプロモ-タ-を含むゲノムDNA成分であると考えられる。
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