研究分担者 |
梅田 誠 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90193937)
和泉 雄一 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60159803)
小田 茂 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70160869)
萩原 さつき 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70134715)
渡辺 久 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (40143606)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
歯周疾患関連細菌と病態との関係について細菌学的,免疫学的,遺伝子工学的に研究を行なった.私共は,歯周疾患患者の末梢血中の歯周疾患関連細菌に対する血清IgG抗体価を酵素免疫測定法(ELISA法)を用いて測定し、病態との関連性について研究してきた.今回,従来の測定法の処理能力を高めるために,測定法の改良を試みた.Porphyromonas gingivalis(P.g.),Prevotella intermedia(P.i.),Actinobacillus actinomycetemcomitans(A.a.),Fusobacterium nucleatumの4菌種に対する血清IgG抗体価を測定した結果,単位当りの処理数は約6倍となった.また,この改良法は比較的高い抗体価を示す血清のスクリーニングに有効であると考えられた.初診時と治療終了時の測定値を比較したところ,P.g.とP.i.の血清抗体価が有意に減少した.P.g.に対する抗体価の減少量と歯周外科処置の回数,治療期間,まちP.i.に対する抗体価の減少と喪失歯数の間に有意の相関が見られた.これにより,P.g.,P.i.の抗体価の減少は歯周治療の有効性を評価する指標になり得ることが示唆された.1988年から1989年までの2年間に測定した60名の患者の測定値と臨床指数との関連性について調べたところ,P.g.に対する抗体価とprobing depthおよび歯槽骨吸収率,A.a.に対する抗体価と歯槽骨吸収率との間に相関が見られた.この結果から,P.g.とA.a.が歯周炎の進行において重要な鍵を握る細菌であることが免疫学的に明らかになった.次に非放射性DNAプローブを開発して,P.g.とP.i.について十分な特異性と感度が得られた.調査して歯周炎患者全てからP.g.が検出され,probing depthとbleeding on probngと相関し,細菌学的にもP.g.が歯周炎の進行の鍵を握る細菌であることが明らかになった.P.g.の線毛遺伝子についてRFLP分析を行ったところ,バンドパターンの多様性が認められ,同一菌種でも病原性の強弱の違いを持つことの一因が線毛によることが示唆された.
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