研究概要 |
当教室で樹立したヌードマウス可移植性ヒト唾液腺癌株(TS-1)を免疫原としてモノクローナル抗体(NTS4C3)を作製した。NTS4C3の ^<125>I標識,およびダウノマイシン(DNR)との結合体を作製し,唾液腺腫瘍に対するターゲティング療法の可能性を検討した。 1.in vivoでの結果 (1)NTS4C3は,TS-1,TS-2腫瘍への高い集績性を示した。 (2)DNR-NTS結合体は,DNR単独よりTS-2腫瘍に対して高い抗腫瘍効果を示した。 2.in vitroでの結果 当教室で樹立したヒト腺様嚢胞癌細胞株(KSAc3)を標的細胞として用いた。 (1)蛍光抗体法による検索の結果,NTS4C3は標的細胞の細胞膜と結合することが判明した。 (2)NTS4C3はCDC活性およびADCC活性を示さなかった。 (3)DNR-NTS結合体は,DNR単独より標的細胞に多く取り込まれる事が判明した。 (4)DNR-NTS結合体は,DNR単独より標的細胞に対し高い抗腫瘍効果を示した。 以上より,NTS4C3を用いたターゲティング療法は,唾液腺腫瘍に対する治療に有用となる可能性が示唆された。
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