研究分担者 |
掘江 純司 (堀江 純司) 九州大学, 歯学部, 助手 (60209286)
岩瀬 達雄 九州大学, 歯学部, 講師 (60151734)
於保 孝彦 九州大学, 歯学部, 講師 (50160940)
稲井 裕子 九州大学, 歯学部, 助手 (00193540)
田籠 祥子 九州大学, 歯学部, 講師 (20150469)
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研究概要 |
レーザーを照射されたエナメル質の耐酸性獲得機作を解明するため,ヒトエナメル質を用いその光学的特性,組成および構造の変化,浸透性の変化について検索を行った。照射エナメル質は正の高い複屈折性を示し,エナメル質内部に微細空隙の形成が示唆された。照射エナメル質においては非照射エナメル質と比較して新しい産生物は認められなかったが,結晶の格子ひずみの減少と格子定数のa軸長に若干の減少を認めた。水,炭酸,有機質の含有量は照射エナメル質において減少していた。 次に加熱処理およびレーザー照射エナメル質を各種溶液で処理して,その光学性および浸透性の変化について検索を行った。各種温度で処理したエナメル質のうち400℃で24時間加熱処理したエナメル質は酸脱灰に対して最も高い耐性を持ち,またレーザー照射エナメル質と同様の高い正の複屈折性を示した。石炭酸フクシン,酸性フッ素リン酸溶液(APF)および石灰化液は加熱処理エナメル質には浸透しなかったが,照射エナメル質には顕著に浸透した。乳酸緩衝液で処理した場合,加熱処理エナメル質では複屈折性の変化は認められなかったが,照射エナメル質では正から負への変化が認められた。 これらの結果よりレーザー照射エナメル質の構造変化は加熱処理エナメル質の変化と同様ではないことが示唆された。照射エナメル質には、瞬時に高エネルギーを与えることにより微小通路を生じており外部溶液が浸透しやすいと考えられる。しかしながら一方で,照射時の熱作用により有機質や水分が燃焼した後に微細空隙を生じているため,酸脱灰により溶出したイオンがこれらの空隙に沈着し,容易に外部溶液へ拡散,放出されないことが耐酸性獲得の主な機作と考えられた。
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