歯周病の原因となる歯肉縁下プラ-クの形成機序の一端を知ることを目的として、その主な構成細菌である様々なグラム陰性嫌気性細菌と<Streptococcus milleri>___ーとの菌体共凝集反応性について調べた。実験には、ヒト歯肉炎部縁下プラ-クから新たに分離同定した20株を含むグラム陰性細菌8属54株と口腔<S.milleri>___ー(血清型a__ーーk__ー、30株)を用いた。前者は、メナジオン・コハク酸を含むToddーHewittブロ-スにて、後者はBHIブロ-スにて嫌気的に培養し、集菌・洗浄後、菌体凝集反応試験に用いた。<S.milleri>___ーと最も広汎で強度な凝集能を示したのはFusobacterium属で、供試22株全てが共凝集陽性で、中でも8株は血清型を問わず20株以上の<S.milleri>___ーと凝集した。Bacteroides属は16株中10株が1〜9株の<S.milleri>___ーと、またEikenella属の1株とVeillonella属の1株とVeillonella属の6株中1株が4株の<S.milleri>___ーと凝集性を示した。Copnocytophaga属2株中1株と、Actinobacillus属4株中1株は1株の<S.milleri>___ーとのみ陽性で、Neisseria属2株とWolinella属1株はどの<S.milleri>___ーとも凝集しなかった。次に広範囲の共凝集性を示した<F.nucleatum>___ーおよび<B.gingivalis>___ーと<S.milleri>___ーとの共凝集反応の特性を調べた。ほとんどの組み合わせにおいて、18mMEDTAー2Naの添加により凝集塊の解離がみられたが(54ペア/62ペア)、60mMラクト-スの添加では解離はみられず(132ペア/138ペア)、他の糖ラムノ-ス、ガラクト-ス、ガラクトサミンでも同様であった。また、グラム陰性細菌菌体を加熱またはプロチア-ゼ処理すると凝集能を失うのに対し、<S.milleri>___ー菌体は同様の処理をしても凝集能を有している(100ペア/120ペア)ことから、共凝集反応にはグラム陰性細菌の菌体表層タンパク質が関与していることが示唆された。以上の結果、歯肉縁下プラ-クの基層をなしている<S.milleri>___ーがいくつかの歯周病原性グラム陰性嫌気性細菌のプラ-クへの参入に関与している可能性が考えられる。
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