研究概要 |
我々は、GHRH受容体蛋白の精製を行い、その性状を検討し,次の成績を得た。 1.GHRH結合性の同定と分布 GHRHを用いる結合実験では[D-Ala^2,Ala^<15>,Nle^<27>,Lys30(Biot)]hGHRH(1-30)NH_2がリガンドとして最適であった。下垂体とヒト胎盤にGHRHに対する特異的結合部位の存在を見出し、この結合蛋白は結合能を有したまま10mM CHAPSで可溶化された。Sephacryl-S300を用いたゲルろ過で結合活性は約669Kd,67Kd,45-17Kdの3つの部位に溶出された。また、SDS-PAGEでは下垂体と胎盤に共通する75Kd,55Kdのバンド、ならびに下垂体にのみ認められる31Kd、28Kdバンドなど複数の分子種の結合蛋白の存在が示唆された。 2.受容体の精製とその性状 ヒト胎膜分画より10mM CHAPSで可溶化されたGHRH受容体を[D-Ala^2,Ala^<15>,Nle^<27>,Lys30(Biot)]hGHRH(1-30)NH_2を固定化したアフィニティカラム、GS3000SW,逆相HPLCを用いて精製を行った。精製された受容体蛋白はSDS-PAGE上、分子量約75Kdで等電点は4.5-5.0Kdであった。 3.受容体のPCR-クローニング GHRH受容体のcDNAの塩基配列をもとにプライマーを合成し、ヒト胎盤DNAを鋳型としてPCRを行った。その結果、予想される長さ以外に複数のPCR産物を認め、GHRH受容体の亜型または相同蛋白の存在が示唆された。 4.血清中GHRH結合蛋白の同定 GHRH抽出後の血漿蛋白は標識GHRHと特異的に結合した。標識GHRHをクロスリンク後、ゲルろ過を行うと約669Kd,200-100Kd、67Kd,45-17Kdの4つの部位に溶出された。 今後、75Kd以外の結合蛋白の精製を膜蛋白、血漿蛋白の両者で行いアミノ酸配列の決定を行う。
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