研究概要 |
種々のサイトカインの巨核球・血小板造血への影響をin vitro培養系およびin vivo実験系を用いて検討した。in vitroにおいてはいくつかのサイトカインが巨核球系細胞の増殖・分化に影響をおよぼすことが観察され,巨核球コロニ-刺激因子(early factor)の作用を有するものにILー3,GMーCSF,高濃度のEpoがあり,巨核球成熟因子(late factor)作用を有するものはILー6,ILー3,GMーCSF,Epo,MーCSF,LIFなどがあるが,ILー6の作用は最も強力であった。マウスを用いたin vivo実験系において,実際に血小板増加作用を示したものは,検索したサイトカインILー6,ILーIβ,Epo,GMーCSF,GーCSF,MーCSFのうちILー6,Epo,ILーIβであった。ILー6による血小板増加作用はこれらのうち最も強く,3日目から巨核球サイズの増大,4日目から血小板増加が認められ、長期投与実験においては投与期間を通じて(〜30日)血小板産生刺激効果が認められた。Epoにおいても血小板増加作用は認められるが,効果は軽度であり,また一過性であった。ILーIβには巨核球への直接作用はなく,ILーIβ投与になる血小板増加は投上後の各種サイトカインの血清濃度測定より内因性ILー6の関与が最も考えられた。また,ラット巨核球上にILー6リセプタ-,Epoリセプタ-を証明し,これらによる血小板増加作用は巨核球リセプタ-を介する直接的な作用であることが示唆された。 以上のようにin vitro,in vivoの巨核球・血小板造血はいくつかのサイトカインにより修飾を受けることが示されたが,中でもILー6の血小板増加作用は検系したサイトカイン中最もpotentであり,マウスにおける長期投与実験およびprimateにおける実験でも副作用は軽徴でありまた可逆的であったことから、今後,血小板増加因子として臨床的応用への可能性が追求されうるものと考える。
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