研究概要 |
1.国内外の研究報告・資料を収集整理した上で現代人の腰痛の特徴とその対応を検討したところ、適切な生活指導と運動療法が有効と考えられる疾患が主体を占め、とくに運動療法として、ストレッチング・筋力トレ-ニング・エアロビクスが重要であり、その中でも水中運動・水泳が強調されるべきことが示された。 2.腰痛水泳のプログラムを実践している48名(男性10名,女性38名:平均年令44才3ヵ月)を対象にそのプログラム内容と腰部ヘルパ-の効果、注意事項等を検討したところ、腰痛を有する中高年者はその疾患の種類・程度・体力レベル等の個人差が大きく、また全身の筋力低下・関節可動域の低下も著しいので、機能回復を目的とした安全な泳ぎを主体にして、腰部ヘルパ-をも活用して無理なく長く続けさせることが重要であることが明らかになった。 3.国内4施設で腰痛・関節痛のための水中運動・水泳プログラムを実践している81名(男性15名、女性66名)にプログラム参加状況,身体面の状況,精神面の状況,運動実践中の障害・病気について質間紙法により調査したところ、痛み、日常生活動作、歩行能力の改善が43.2%,35.8%,34.6%,不変が39.6%,45.0%,50.6%であり、泳力は平均43.1点から68.6点(100点満点)へと改善した。また、心身の不調感では疲労感が軽くなった。風邪をひきにくくなった、不安感がなくなった等の改善が、精神面では、希望がわいてきた、活動的になった、楽観的になった等の効果がみられた。全体的評価としても、90%近くが満足していた。しかし、運動実施中の障害・病気の経験者が12.3%あり、また運動中腰痛・関節痛等の痛みをきたした者も少なくなく、指導上の細かな工夫・対応が必要であることが示された。
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