研究課題/領域番号 |
02454558
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
楠見 明弘 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169992)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | ナノメ-ル技術 / カドヘリン / カテニン / 細胞接着 / 膜骨格 / 細胞骨格 / 膜ドメイン / 側方拡散 / ナノメ-トル技術 / ケラチノサイト / 膜蛋白質 |
研究概要 |
我々は先に、マウス由来のケラチノサイト上で、細胞接着膜蛋白質であるカドヘリン分子の運動を測定した。その結果、カドヘリン分子は細胞膜上で3種のモ-ドを交換しながら複雑な運動をしていることが明らかになった。本年度は、このカドヘリンの運動を制御している分子機構を解明するため、本来カドヘリンを持たない細胞(マウス由来の繊維芽細胞)に、野性形または、遺伝子工学的に細胞質部位の様々な部位を欠損させた変異型のカドヘリン分子の遺伝子を組み込んで発現させた細胞において、それらのカドヘリン分子の細胞膜上での運動を解析した。 その結果、以下に示す結果を得た。 (1)カドヘリンの細胞質部位に結合する細胞質タンパク質であるカテニンに対する結合活性を持たないカドヘリン変異体は、野生型や、カテニン結合型の変異体に較べて、不動成分及び直線的な輸送といった、膜骨格ー細胞骨格結合成分が多い。 (2)カテニン非結合型は、結合型に較べて拡散係数が大きい。 (3)いずれの変異体においても、約半数のカドヘリン分子は運動領域の制限を受けた拡散運動を行っている。 (4)運動領域の制限の大きさは、カテニンの結合によらず一定(400ー500nm)であるが、唯一細胞質部位のほとんどを欠損した変異型では、運動領域が大きくなる。 これらの結果は、細胞膜上でのカドヘリンの運動が、その細胞質部分と膜骨格ー細胞骨格等の細胞質タンパク質との相互作用によって制御されていることを現している。 分子の運動性は、細胞質タンパク質との特異的な結合によって制限されており、運動範囲は、カドヘリンの細胞質部分と、膜骨格系の構造との衝突頻度によって決定されているものと思われる。
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