研究課題/領域番号 |
02455017
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
安井 湘三 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (50132741)
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研究分担者 |
古川 徹生 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (50219101)
八木 哲也 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50183976)
新島 耕一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30047881)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1990年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ニューラルネット / 視覚 / 神経生理 / シナプス / 網膜 / 画像処理 / 連想記憶 / 学習 / ニュ-ラルネット / 連想記億 / ニュ-ロコンピュ-タ / パタ-ン認識 / 視細胞 |
研究概要 |
A 生体視覚系の神経生理 A1 硬骨魚の網膜において短波長錐体信号を伝達する特異型シプナス 錐体からH1型水平細胞にはgm減少型のシナプスが介在し、これが短波長光信号を伝達することを明らかにした。さらに、この伝達物質受容体は2-アミノ-4-フォスフォノ酪酸をアゴニストとして、その起動は暗順応により阻害されることを示した。以上、シナプスの状況は従来の定説のように単純ではないことが分かった。 A2 受容野サイズの制御:色覚と明暗順応に関係する新しい可塑性機構 A1から予測される効果として、明順応時のH1型水平細胞においては短波長刺激の受容野は長波長に比べて狭いことを示した。これは、色と明暗順応に依存する受容野サイズの可塑性制御に関する新しい機構の発見である。 A3 サル錐体内節部、ザリガニ視細胞、金魚水平細胞を対象としたCa^<2+>関連イオン透過膜機構 上記課題に関して、電位依存性Ca電流、光受容電流、Ca依存性アニオン電流、Na-Ca交換、Na-K ATPase、および大容量の細胞内Caイオン貯蔵庫などの存在の立証や性質の解明を行った。 A4 錐体視細胞レベルにおける平方根則:スリット光刺激強度と応答振幅の関係 上記の効果が、錐体間のギャップ結合と光の散乱に因るものであることを電気回路モデルを用いて説明した。 B 計算論的網膜モデルと人工網膜 B1 エッジ検出学習による可塑性時空間受容野の発現 誤差逆伝播型3層NNにエッジの検出を学習させると、中心一周辺拮抗型受容野(CSRF)がNN内部に発現した。さらに、ノイズパターンを入力に加えると受容野は浅く広くなった。これは、空間的な微分(変化検出)と平滑(ノイズ除去)という相反する要求に対するtrade offと理解できる。また、以上のSN環境に依存した可塑性は「時間域の受容野」にも発現した。 これら時空間受容野の特性は鯉網膜のON型双極細胞のCSRFでも実在することを実験的に示した。この双極細胞で得た事実はA2と密接に関連していると思われる。他方、類似の時空間特性をもつCSRFはハエ複眼の2次ニューロンにもあることが他者によって示されている。以上から、起源や構造は全く異なるが背後にある計算論的原理は同じであることが示唆される。 B2 画像処理用適応型VLSI 標準正則化が、視細胞、水平細胞、双極細胞の成す網膜神経回路の構造に対応づけられることをA2やB1を参考に数学モデルにより示し、これを応用して集積回路設計を行い新しいタイプの画像処理チップを試作した。 C 人工ニューラルネットワーク(NN) C1 縮小写像原理に基づいた新しいタイプの連想記憶NN 上記NNを考案した。前処理用に直交変換回路網の組み入れなどの改良を重ね、手書き英数字のほかにカラー画像の認識に応用して良好な結果を得た。また、ゲノム情報検索への応用に向けた研究も目下行っている。 C2不要経路自律削除アルゴリズムとNN構造学習 個々のタスクに対して必要十分なNN回路構造を事前に知ることは様々な理由で重要である。3層逆伝播型NNにおけるこの問題について、シナプス荷重の相互抑制により不要経路を自律削除するアルゴリズムを考案して良好な成積を得た。複数タスクの並列学習にも応用したところ、タスクに関連性があると隠れ素子の一部を共有した構造が形成された。この発現機構をタスク間の相対難易度、構造的整合性や成育時間過程などの観点から究明した。
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