研究課題/領域番号 |
02455022
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井上 貞子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00053827)
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研究分担者 |
岩崎 万理子 昭和大学, 薬学部, 助手 (80054021)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | Embryogenesis / Vitellogenesis / De-N-Glycosylation / Peptide:N-Glycanase / PNGase / Phosvitin / Hyosophorin / Post-Translational Remodification / 動物グリコペプチダ-ゼ / DeーNーglycosylation / Nーグリコシド型糖鎖 / 糖タンパク質代謝 / メダカ卵 / リン酸化糖タンパク質 / 表層胞糖タンパク質 / 動物糖タンパク質糖鎖の遊離 / 魚卵ビテロジェニン / 魚卵ホスビチン糖鎖 / 糖タンパク質糖鎖の代謝機構 |
研究概要 |
糖タンパク質は、多細胞生物の営みにとって重要な生体物質の一つである。糖タンパク質の糖鎖の機能を分子レベルで解明するためには、生合成の研究と並んで、代謝の研究が重要であるにも拘らず不充分である。 本研究は、魚卵および魚類初期胚に、局在性と機能の全く異なる糖タンパク質に由来すると思われる糖タンパク質糖鎖が、遊離状態で存在する現象を見出したことに端を発する。これらの遊離糖鎖の構造は、非還元末端部分も、還元末端(ペプチドとの結合部位)もアスパラギン結合型糖鎖として完全なものであることから、遊離糖鎖が単に糖タンパク質の異化産物ではなく、糖タンパク質の機能との関連で脱離したものであることが推測された。また、糖鎖はペプチドとの結合の根元から切断された構造を持つことから、脱離には従来動物細胞においては報告例のないペプチド:N-グリカナーゼ(PNGase)が関与することが推論された。 これらの推論は本研究によって証明され、糖鎖生物学および初期発生細胞生物学分野において重要な、下記の新しい発見がなされた。 (i)動物細胞における最初の例として、ペプチド:N-グリカナーゼ(PNGase)の存在が魚卵で証明された。メダカ胚から、酸性およびアルカリ性PNGaseを単離し、部分精製した。(ii)魚類未受精卵に蓄積される遊離糖鎖の起源がホスビチンであることを、糖鎖の構造解析によって証明した。(iii)メダカ胚の胞胚期から嚢胚期にかけて、表層胞糖タンパク質(hyosophorin)の糖鎖が脱離する現象を見出した。hyosophorinの機能は未解明であるが、この時期に糖鎖が脱離し活性ペプチドが生成することが推測された。 魚卵の系で観察、証明された事象から、PNGaseは動物細胞一般に存在する酵素であり、この酵素によって解媒される糖鎖脱離は、細胞活動の制御機構として存在するタンパク質の再修飾反応であると推論された。
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