研究概要 |
本研究では,ホログラムを用いた光ディジタル処理システムに関する基礎的な研究を行った.ホログラムを用いた光論理演算法および光ディジタル回路の構成法を提案し,基礎的な実験結果をもとに検討を行った.また,必要なデバイスに関しても基礎的な実験を行い,その性能について評価した. ホログラムを用いた光論理演算法は,並列処理が行えるが実行できる演算の種類は一種類であった.ディジタル回路を実現するためには複数の種類の理論演算が必要である.そこで,位置により異なる種類の論理演算を行う局所可変光論演算を実現した.さらに,局所可変光論理演算を拡張して,まとまった機能を有するモジュ-ルを実現した.このモジュ-ルを光規則接続することにより,光ディジタル回路を実現した. ホログラムの回折効率によって光計算機システムのエネルギ-効率が決まるので,これを向上させることは重要である.本研究では,高回折効率で複雑な振幅透過率分布を記録できるホログラムとしてROACHを導入した.その結果,回折効率10%が実現できた.ROACHは,2層のフィルムにより振幅変調と位相変調を行うが,位相変調を行うフィルムでも振幅変調が発生するための補正が必要であることが判明した. 光ディジタル計算機を実現するためには,高速な空間光変調器が必要である.本研究では,高速な非線形特性を有する光双安定素子を空間光変調器として用いることを考えた.光双安定素子の二次元的な処理に関する研究は従来なされていなかった.光双安定素子のMTF測定を行った結果,コントラスト50%で80lines/mmの解像度を有していることが判明した.これは,大きさ13μm×13μmの小さな非線形素子が二次元的に配置していると考えることができる.この場合,ひとつの素子の動作パワ-は0.8mWで動作速度は80μsである.
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