研究概要 |
前年度の成果をもとに,異常診断,自動復帰のアルゴリズムの開発と全体システムの統合と評価実験を行った. 1.新たに境界表現モデルを用いた高精度の切削力予測の可能な切削シミュレ-ションシステムを開発した.また,シミュレ-ションの結果を実加工時に有効に利用できるようにするために,加工シナリオと呼ぶデ-タ形式とその自動生成の方法を示した. 2.加工シナリオによって与えられるモデル情報とセンサ情報を融合し,加工中に発生する種々の異常状態の診断と,その結果に基づく自動復帰の方法を検討した.異常診断に関しては以下の手法を実現した. (1)工作機械の動作状態の情報から工作機械の異常診断を行う方法. (2)工具一回転中の切削力波形をシミュレ-ションよる予測値と比較することによって工具,工作物の異常を診断する方法. (3)診断結果の確認のための計測プログラムを自動生成する方法. 3.マシニングセンタ,制御用計算機,信号処理用計算機,シミュレ-ション用ワ-クステ-ションを結合した試作システムを構築した.制御用計算機とマシニングセンタ間で,制御指令と工作機械の運転状態に関する情報を実時間で通信できるようにした.これにより,制御用計算機が各計算機から得られる情報を統合して工作機械を柔軟に制御できるようにした. 7.エンドミル,ドリル工具を用いた評価実験により,全体システムの動作確認,および異常監視,診断手法の有効性の確認を行った.
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