研究課題/領域番号 |
02554016
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 正 東京大学, 教養学部, 教授 (50124219)
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研究分担者 |
泉岡 明 東京大学, 教養学部, 助手 (90193367)
塚田 秀行 (塚口 秀行) 横浜市立大学, 総合理学研究所, 助教授 (40171970)
佐藤 直樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (10170771)
山岸 皓彦 (山岸 晧彦) 北海道大学, 理学部, 教授 (70001865)
小林 啓二 東京大学, 教養学部, 教授 (50012456)
藤戸 輝昭 日本電子(株), 分析機器, 研究員
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1990年度: 13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
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キーワード | 固体高分解能核磁気共鳴 / 固相内有機分子ダイナミックス / 固相内互変異性 / 固相内高合反応 / ポリジアセチレン / ヒドロキンフェナレノン / ヒドロキシフェナレノン / 固体高分解能核磁気共鳴装置 / パルス系列 / 光透過プロ-ブ / 固体 ^1H高分解能測定 / 固相有機分子ダイナミックス / 光透過型プロ-ブ / 心体 ^1H高分解能測定 |
研究概要 |
本年度は本試験研究の最終年であり、完成した装置を活用し、幅広い研究対象について、固相内有機分子のダイナミックスに関する研究を展開した。以下にその主要な2、3の研究成果を挙げる。 1.水素結合系結晶中のダイナミックスに基づく誘電性の発現に関する研究 9-ヒドロキシフェナレノンは4つの結晶相を持ち、X線構造解析によると255K以下の低温相(相1)では分子は非対称に観測される。一方室温相(相2)では、分子は対称的に観測されると共に、分子配列にデイスオーダーが認められる。固体高分解能^<13>C NMRによる検討の結果、相1では互変異性過程の凍結しているが、一方相2では速い互変異性が起っていることが判明した。相2におけるカルボニル炭素、ヒドロキシル炭素の線形の温度変化は2サイト交換モデルで解析でき、熱力学的パラメーターは互変異性体のエネルギー差が0.8kJmol^<-1>,エンタルピー項が15kJmol^<-1>K^<-1>と求められた。なお、この系について誘電測定を行った結果、その絶対値や異方性より、誘電性の発現には互変異性と共に分子の120度ジャンプ運動も関与することが明らかとなった。 2.ゲル状態にあるヌクレオチドの会合状態の研究 5'-GMPジナトリウム塩のゲル状態でのNMRスペクトルを測定することに成功した。通常ゲル状態では分子運動の相関時間が長くなるため、高分解能のスペクトルは得られない。ここでは本研究で開発したOリング付き測定管を用い、マジック角回転条件下でケミカルシフトの異方性を消去することにより同試料の^1H高分解能スペクトルを得た。この手法は分子の自己組織化の機構を議論する上でも、貴重な知見を提供するものとなろう。 3.光誘起の固相内重合反応の解析 配向制御部位を有するジアセチレン誘導体を合成し、結晶構造をX線回折法により確認した。さらに同試料が光照射により固相内重合を起こし、青色相を有するポリジアセチレンを与えることを見いだした。生成物のCP/MASスペクトルはモノマーの重合が1、4位で起こっていることを示している。さらに液晶相での重合挙動についても、CP/MASスペクトルより重要な知見を得た。 以上の研究例で示されるように、新型機種を活用することにより、固相内有機分子のダイナミックスに関し、物性、反応性の観点からも興味深い新知見を得ることができた。
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