研究概要 |
本試験研究の目的であるアルゴンの連続レ-ザ-ビ-ムを用いて試料の加熱を行ない,それから脱ガスしたアルゴンガスを利用してのアルゴンーアルゴン年代測定は,本研究期間内では主として鉱物試料からのレ-ザ-ビ-ムによる脱ガス条件を求めるための基礎的な実験に留まった.しかし試料からアルゴンーアルゴン年代測定に必要な量のアルゴンを抽出する見通しは立てられたので,わが国においてもその実用化は十分に可能であろう. 本研究から,アルゴンの連続レ-ザ-ビ-ムによる試料の加熱は,レ-ザ-ビ-ムの集中度・試料へのビ-ムの入斜角度・レンズ等の効率・レ-ザ-の出力・試料のエネルギ-吸収度など多くの因子が関係していることが明らかになった.試料にレ-ザ-ビ-ムを照射する際の位置を決定し,レ-ザ-ビ-ムによる表面状態の変化を観察するためには,実体顕微鏡を用いることは非常に有効であるが,レ-ザ-ビ-ムを最も効率よく試料表面に照射する条件とは必ずしも一致しない.この点を改善するために,さらにモニタ-用のビデオなどを用いた方式なども検討中である. 今後の課題としては,レ-ザ-ビ-ムによって加熱された部分の温度測定や融解部分の体積の見積り,高融点の白色鉱物を融解させるための方策などが残されている.更に年代が1000万年より若い火山岩などの試料をレ-ザ-加熱によるアルゴン抽出でアルゴンーアルゴン年代を測定するためには,高感度・高精度の質量分析計を用いることが絶対的に必要な条件で,十分な性能をもった質量分析計を導入することが不可欠である.
|